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俺、元兵士、奴隷買いました。  作者: 岩塩龍
第一章・高慢エルフ買いました。
10/203

10話・久しく、戦いました。その2

20150319:編集いたしました。

あまり変わっておりません。

視点の統一をしました。

 曹駛が魔法を使う。

 人間が魔法を使う。

 普通では考えられない事だ。

 魔力元が謎なのである。

 魔法の元となるのは魔力だが、魔力の元となるのはマナである。

 マナ自体はこの世界の万物に宿っている、しかし、人間はそれを魔力に変換することが出来ないのだ。

 魔法が使える人間というのは、稀に生まれてくる、僅かながらもマナを魔力に変換できる人間か、もしくは薬などで直接魔力を摂取した人間である。

 だが、そのどちらにせよあそこまで連発は出来ない。

 それに、前者は使用できる魔力量が少ないという欠点が、後者には、魔力への拒否反応の可能性があり、普段から使用することはリスクが大きすぎるため、実践では魔法を使い慣れていないことが多いという欠点があるはずなのだ。

 あの一般人は普通ではない。

 コロシアムのほとんどの人物がそう思った。


「魔法が出来たといって、勝てぬと言っただろう!」

「うるせぇっ! お前、やっぱ普通の人間じゃねぇだろ、なんだその速度」


 ミットの速さも、大概人間のそれとは違った。

 ミットが本気を出したのだ。

 勝負は互角。どちらかがわずかに押されるということもなく。互角。

 純粋なパワーでは、ミットが勝っている。だが、曹駛は、魔法と持ち前の技で何とかしている。

 曹駛は、少し焦っていた。

 ミットが自分の想像以上に強かったのだ。


「逃げるなよ、ミット」

「なんだ、それは? 挑発のつもりなのか? だが、それは全く挑発としては役に立っていないぞ、どちらかというと、それはこちらの台詞だしな。それより、そちらこそ、逃げるなよ」

「ああ、そんなんじゃねぇっつの。面倒だからさっさと決めようとしているだけだ」

「短期決戦か……魔法使いお得意の戦法だな、いや、長期戦が苦手というべきか、だが、それはいい案だ。確かに、そろそろ、観客の方もピークのようだしな。後は落ちるだけだろう。なら、盛り上がっているうちに終わらせた方がきれいでいいだろう」



(長期戦か……俺は、正直どっちでもあんまり変わらんな。本当にただ面倒なだけだ……観客もうるさいし、さっさと帰りたいだけだ。さっさと帰ってレフィとにゃんにゃんしたいぜ。まぁ、別にあいつとにゃんにゃんしたことはないけど、こういう日くらいきっとあいつだって許してくれるだろう……)


(俺、家に帰ったらレフィとベッドの上でにゃんにゃんするんだ……)


 などと、死亡フラグを立てるかのような決心をした曹駛は、先ほど弾き飛ばされた盾を今更になってやっと拾った。


「今更盾を拾った所で何になる」

「いやいや、逆でしょ、普通。さっきまで盾無しでやって互角だったんだし、有りでやったら、俺の圧勝でしょ」

「どういう考えを経てそう思っているかは知らんが、そんな盾、今の俺の前では無意味だと言っているんだ」

「は?」


 ミットは、その大きな剣を構え、曹駛に飛び掛かった。ミットの剣を横に薙ぎ、曹駛はそれを先ほど拾った盾で防……げなかった……

 両断されたのだ……盾ごと……

 大きなタワーシールドが二つになった。曹駛も危うく真っ二つになるところであったが、そこは盾のお蔭でギリギリ真っ二つにはならずに済んだ。だが、とても動けるような状態ではない。勝負あったといったところだ。


……普通なら……


 曹駛は、使い物にならなくなった盾をミットに向けた。


「何のつもりだ? それは槍では無く、盾だ。もう、意識ももうろうとしているのか?」

「はっ……お前こそ、自分の足元が見えねぇのか?」

「なっ……!?」


 ミットは足を動かすことが出来なかった。

 ミットの足は囚われていた。いつの間にかできていた土の山に……

 その山は、すぐに魔法でできた物だと気づいた。まず、唐突に土の山がこの場に出来ることはないし、なにより、土はまるでコンクリートのようで、重く固い。足の力だけで崩すことは出来ないだろう。そんな土の山に、膝の上まで埋もれているのだ。ミットは動くことが出来なくなっていた。


「これで、終わりだ」

「なにっ!」


 もう盾とも呼べない二枚の金属板が赤く膨張していく。

 それが、これ以上ないというくらいになったところで、曹駛はそれらをミットに投げつけた。


金属爆弾(メタルボム)


 コロシアムには爆裂音が響いた。

 爆風でミットが吹っ飛び、フェンスに激突する。

 しばらく、沈黙で包まれるコロシアム。

 少しして、煙の中から何者かが飛び出た……それは、曹駛だった。少し鎧と受けた曹駛がランスを構え、ミットに向かって駆けだしたのだ。


「く、くそ、身体が……動かない……」


 ミットの身体が動かないのも当然であるあれほどの至近距離で、爆風と爆炎を受けたのだ。いくら重装備だったとして、普通ならば、気絶して倒れてもおかしくは無いはずなのだ。気を確かに持っているだけ、ミットは強者なのである。

 曹駛は、身体を動かすことが出来ないでいるミットの喉元にランスを向けて、こう言った。


「俺の……勝ちだ……」


 その時、コロシアムは、今日一番の歓声に包まれた。


「どうやら、今回も俺の勝ちのようだな、ミット」

「………」

「あれ? 気絶しちまったか?」

「……うるせぇ……」

「なんだ? 負け惜しみか?」

「まだだ、まだ終わっていない……」

「そりゃ、負け惜しみだ。負け惜しみであってほしい……けど、どうやら、違うみたいだな」


 暗くなった。

 夜になったわけではない。日はまだ昇っている。

 これは影だ。このコロシアム全体を覆い尽くす影が現れた。


 このコロシアムは、本当のコロシアムになった。


 歓声は悲鳴に変わる。

 一部の観客が消えた……炭や灰になって……

 先ほどまでとは一転、このコロシアムは、逃げ惑う人々の悲鳴に包まれたのだ。

 大きな地響きと共に、巨大なドラゴンが降り立った。


「さ、さぁ……グルック……第三ラウンドの開幕だ……」

「ああ、もう、やっぱりか」


 曹駛は、怒りも込めて、ミットの顔を思いっきり殴った。

 ミットは舌を噛んだようで、血を吐き出して気絶した。

 曹駛は、殺してしまったか? とも思ったが、どうせ死刑になるんだろうし、別に問題ないだろうと、自分を説得し、ドラゴンと向き合った。


「ああ、もう、面倒くさい。なんで、こんなもん呼ぶんだよ……」


 無傷の体で、新品同様のタワーシールドを右手に、新品同様のランスを左手に持ち、家から出る時とまるで変わらない鎧を装備した曹駛は、ぼそりとそう呟いた。

この世界にもコンクリートはあります。アスファルトもあります。

それにしても、戦闘描写苦手っすね。

そろそろ主人公の秘密の一部は分かる時期かもしれない。


20150319

ほとんど変わっておりません。

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