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第三章 最後の砦

ゾフィーが魔王だと言うことや、その他にもいろいろと話し込んでいると、6時を回っていた。

「そうま、お腹減った」

「何を言ってる愚民! まだ夕飯に早いだろう!」

 緑葉が遥をたしなめる。

「確かに腹減ったな、夕飯にするか」

「そうですね、ちょうど僕もお腹すいていたところですよ」

「……緑葉君ってそんなキャラだったんだね」

 栞が笑いをこらえながら言ってるのを、緑葉がむきになって言い返している。

 目を覚ました緑葉に俺はなつかれてしまった。あと、遥は魔法関連のこと以外の話に戻ると途端にだらしなくなった。

 夕食はさっきみんなで買ってきた。コンビニの弁当である。

「さて、みんな念話はできるよな、食べながら今後のことを話そう」

 そして、学校を支配するための作戦会議が始まる。

【さて、学校にはもう、俺が知っている限りでは魔法使いや妖怪はいないはずだが】

【いや、それはないよ】

 遥が俺の言葉を遮る。

【そもそも、この世界には4つの機関があって、1つ目はみどっちが所属している魔法使い集団、2つ目は超能力集団、これに所属している人は魅岩市にはいない、3つ目は私を含む妖怪集団、そして4つ目美鈴先輩を含む超科学集団】

 俺は息をのんだ

【先輩もそんなところに所属しているのか】

 緑葉が割って入り

【ここから先はこの僕が説明します。超能力集団は数が少なく勝手に動いてるので、今のところ無視できます。今、3つの集団は不可侵条約を結んでいるんだ。そう、この四国と西日本と東日本の間にある都市、この魅岩市で、そして、その管理と調和を任されていたのが、僕とそこの天狗とあの科学女ですね】

 相変わらず口は悪いが分かり易かった。

【なるほど、つまり、美鈴先輩を抑えないと不味いということだな】

【その通り、さすが相馬さんです! だが、僕たち二人が学校から消えたことで多分警戒を強めているはずです。なので、明日の学校の登校はみんなでするのが得策かと】

【それがいいね、みんな異論はないかな?】

【ないよー】【ないですね】【ないのじゃ】

【よし、じゃあ決まりだ! 明日、俺の家の前で待ち合わせだ】

 みんな意気投合したところで、デザートタイムに入った。

【うむ~ やっぱりプリンは美味なのじゃ】

ゾフィーが私服の声を漏らす

【えー コーヒーゼリーがおいしいよー】

【なら、一口もらうのじゃ】

 遥の言葉に、ゾフィーは遥のコーヒーゼリーを一口食べた。その瞬間。

【なんじゃこれ、不味い、やはり、プリンが一番じゃ】

【おいしいのに】

【私もコーヒーゼリーが好きですね】

 栞はコーヒーゼリー派の様だ。

【愚民どもはわかっていないようだな、プリンこそが至高に決まってるだろ】

 なんか、変な流れになって来たな。

【じゃあー せーの、で答えを言おうよ! せーの】

【プリンじゃ】【コーヒーゼリーだよー】【コーヒーゼリーですね】【プリンだな】

【相馬は!?】

【え?……俺!?】

みんな声相馬の答えを待っている。

【……どっちも好きだよ】

 緑葉以外の全員からため息がもれた。

【これだからそうまはー】

【ずるいのじゃ】

 みんなから非難の声を浴びる。

【お前ら俺に答えを求めててそれはないだろ……】

【僕は相馬さんの答えありだと思います】

【そうか、味方がいてよかったぜ】

 そして、賑やかな食事が終わるのであった。


 次の日、俺の家に集まったみんなは学校に警戒しながらむかっている。しかし校門にたどりついても何も起きなかった。なので、放課後みんなで集まってオカ研に行くことになった。

 授業が終わり、みんなと待ち合わせてオカ研に向かっていた。

「ここまで動きがないなんて、おかしいな、何かしてくるのか」

「わからない、けど、疑ってかかる方がいいね」

 もう隠す必要がないと思い遥は周囲に魔力のセンサーみたいなのを張り巡らせているようだ。

 何事もなく、オカ研についたので、すこし拍子抜けをした。そして、ドアを開けると、オッドアイ瞳の先輩が両手に昔、映画で見たような光の剣を構えていた。片方の黒い方の目がバツ印になっているのが気になった。

「さて、三組織間の不可侵条約は破棄でいいのかしら?」

「待ってくれ、美鈴先輩」

 俺の発言に

「部外者は黙っててもらえるかしら?」

 美鈴先輩は冷たく言い放った。

「うちはもう相馬の下についている」

「僕も相馬さんについていく」

二人ははっきりと言い放った。

「そう、なら残念だけど相馬君の命を貰うわ」

「「「そうはさせない!」」」

 三人がそう叫んだと同時に美鈴先輩に攻撃を仕掛けた。まずは緑葉が緑の閃光を放つ、しかし、両手の剣にはじかれてしまう、その隙をついて遥が一気に近づき、手を切断しようと狙うがそこで、片方の剣で防がれる。そして、もう片方の剣で遥を斜めに切り下そうとしたがこれを遥は受け止めるのではなく、下がることにより避けた。

「あなた二人の攻撃方法はわかっています。無駄です。」

「それはこちらも一緒だよ、あなたのその両手の剣は光ゆえに受け止めることもすり抜けることも自由自在だってこともね」

「僕が思うのは、それがやっかいなんだけどね」

 状況が膠着してしまった。そこに栞がでかい空間の穴を空けそれをたたきつけるようにすると、数えきれないほどの空間の矢となり美鈴先輩に襲い掛かる。

 美鈴先輩はこれを光の剣ではじき返そうとしたが、空間の矢はそれを飲み込んで、襲い掛かりいろんなところを貫いた。

「なん……ですか、これは」

「ふふん、私の勝ちです!」

 勝ち誇る栞、驚愕を露わにした美鈴先輩、これは敵が慢心していたから、招いた勝利だろう。

「ここまでですか、そもそも、二つの集団が組んで襲ってきて勝ち目なんてなかったんったんですよ、さあ、私の負けです。何をしたらいいんですか?」

 どうやら、すでに諦めていたからなにも仕掛けてこなかったらしい。それに最後の抵抗は誇りを守るためにやったように見える。

「うちに刃を向けたのはしょうがないとして、そうまに刃を向けたことは許せない、あなたが守りたかったものはそうまとかの日常じゃないの?」

「……そうですけど、もう、終わりかと思ってましたの、ごめんなさいね相馬君」

 美鈴先輩はいまにも崩れそうな笑顔で謝った。栞にやられた傷が深く、今にも倒れそうである。それに、とても不安そうだ。

 俺は明るく笑って

「あ、ああ、大丈夫ですよ、それよりも、俺の仲間になってくれないか?」

「それは、友達になってくれるってことか?」

「? 何を言ってですか、俺は先輩のこと最初から友達だと思っていますよ。それに仲間になってくだされば、ここにいるみんなと友達ですよ、なあ、みんな」

「もちろんです」「あたりまえだよ!」「しょうがないから僕が友達になるよ」

 みんなの声が揃った

「だそうだ、どうですか、美鈴さん」

 美鈴先輩ははじめておもちゃを手にした子供みたいな笑顔で。

「みんな……うれしい!」

 そして、限界だった先輩は倒れこんだ、それに急いで緑葉は近寄り、懐から取り出した本を開き、小さく呪文を唱えると、先輩の体が黄緑色に包まれる。しばらくすると、傷がふさがった。そして小さくため息を吐きながら言った。

「おい、愚民! すこしは手加減できなかったのか? あと少し遅れていたら大変なことになってたぞ!」

「しかたないです。まだ、完全に力をコントロールできているわけじゃないんです」

 そして、栞と緑葉がギャーギャーと騒ぎ出すのであった。


 夕日が沈みだす頃、美鈴さんが起きてきた。

「おはようございます。あれ? 生きてる?」

「ふん、感謝しろ、僕が直してやった」

「ありがとうね、よしよし」

「やめろ、子ども扱いするな」

 美鈴さんが緑葉で遊んでいる。しばらくした後に、俺の中のゾフィーのことや世界征服する旨を説明した。そして、美鈴さんの能力について聞いた。

「私は非政府超科学機関(通称NSO)に所属しているわ、それで、両手と片目をサイボーグ化していますのよ、だから、片目でスローモーションでものを見れたり、サーモグラフィでものを見たりといろいろできたり、両手はすべての剣技がインプットされていますわ」

「しかし、科学の力ってすげー」

「私個人の能力としては、クラッキングと武器などの発明ですわ」

 いろいろ感心していると、遥が口を挟んできた。

「美鈴さんは確か、世界で初めてえーあいとうさいじりつがたぶそうろぼを発明したんだから!」

「平仮名で言われてもわからねぇよ!」

 遥につっこんだ。それについて美鈴さんは説明した。

「AI搭載自立型武装ロボ、いわゆるアンドロイドを作ったってことですね」

「え? もう、この世界にロボットがいるの?」

 俺はこの世界にもうロボットが存在する科学の進歩に感心する。

「はい、現在は一体だけですが、しかし、私の手からつい最近逃げ出してしまって」

 衝撃的事実を聞いた気がした。

「まあ、いいです。とりあえず、物事を順調に進めるために、遥と緑葉と美鈴さんはまだ組織に所属していてください、それで何の異常もないと報告をおねがいします。」

「りょうかい」「もちろんです」「わかりました」

 それぞれの返事をして、気合を入れた

「さて、これで、もう、学校を支配する邪魔はもういない! 今こそ反逆の時だ!」

 そう言い、みんなに激を入れるのであった。


 そのあとは簡単だった。そして次の日、学校では、緑葉が選挙を降りて、俺を支持したことにより、一番人気になったことが、話題になっていた。

オカ研に所属したので。何か悪い呪いをかけられたのだの、変なグッズを買わされその効果がでた、とかだの、いろいろ言われていた。でも緑葉がそんな噂をしている人の前で、

「黙れ! 愚民ども! 僕よりも相馬さんのほうが優秀だ、だから支持しただけだ、別にオカ研は相馬さんがいたから入っただけだ」

 と、言ったことにより、オカルト誘惑説は自然消滅した。

そして、選挙には、対抗馬も出てきたが、緑葉の支持者と俺の支持者はかなり多かったので、無事に生徒会長になることができた。引き継ぎの時、生徒会長が。

「大変な仕事だけどやりがいがある仕事よ、いい学校にしてね、緑葉さんも夜坂さんも倉木君を補助してあげてね」

 と、やさしい言葉をかけてくれた。

 そして、生徒会長就任式の日である。遥と緑葉には屋上で万が一のために屋上で偵察、栞は副委員長なので隣で催眠にかからなかった人を連れてくる役目、美鈴さんは不登校の生徒がいないか学校にクラッキングしてもらっている。

そして報告が上がってきた。

【調べた結果、不登校の子は今年はじまったばかりだからいなかった。あと奇跡的に生徒も先生も全員出席していた、以上ですわ】

 準備はととのった。あとはゾフィー のカリスマ性と話術にかかってくる。

 前生徒会長のあいさつが終わり、俺の番がやってきた。栞と一緒に壇上に上がった。

「諸君よ、学校生活は退屈であろう?」

「授業、宿題、嫌な先生、数えれば山ほどあるだろう」

 さすが、ゾフィー 掴みは完ぺきだった。寝ていた生徒や話をしていた生徒がこの生徒会長は面白そうと思い、大半がこちらを見た。そして嫌な先生と先生を批判したことで教頭先生を筆頭とする、まじめな先生が、こちらを睨んでいた。

「それを、俺は根本から変えようと思う」

「諸君、今こそ立ち上がる時だ」

 檀上が割れるくらい大きな音を出して言った。音で完全にみんなの注意をこちらに向けるためだ、ここが注目のピークだと思った。

【幻想神の魔眼!】

 心の中で叫ぶと、相馬の瞳が赤黒く光る、そして叫んだ。

「これから俺達、オカ研のメンバーが起こす不思議なことは一切感知できない! そしてオカ研のメンバーの言うことに逆らえない! それ以外は普通に生活しろ! わかったら後ろを向くんだ!」

 先生は全員、生徒は寝ていた二人を残して、みんな後ろを向いた。

「栞、後ろを向いてない生徒をこっちに連れてきて」

「はいです」

 栞は、その二人の下に空間の穴を空け、その二人を俺の前に落とした。

 その、二人は状況把握ができてなかった。

「あれ? なんでこんなところに?」

「zzz……はっ、生徒会長! 決して寝てわけじゃないんですよ! うとうとしていただけで」

 何かを言っているが、俺は無視して、その二人に魔眼を向け、もう一度さっきと同じことを命じた。

 そして、栞に元の位置に戻してもらった。

「みんな、前を向いて、普通の生活に戻れ!」

 そういうと、みんな虚ろだった目が普通に戻った。そこで俺は魔眼を戻し再び演説をゾフィーに任した。

「もう一度言う、諸君今こそ立ち上がる時だ。だが、焦ってはいけない、嫌だと思うことがあったら直接な行動に出るのではなく、生徒会に訪れるのだ! まあ筋が通ってないのは却下する。それは先生たちへのけじめでもある。これから、より良い学園生活を送ろう。話が長くなってもつまらないし、以上だ!」

 そして、ゾフィーは檀上を降りて行った。それなりに大きな拍手が起こっていた。

「くくく……」

 俺は笑みを隠すことも忘れていた。何しろ当初の目標だった学校を支配することを達成したのだ、その満足感を背に、俺はクラスに戻っていったのであった。


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