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プロローグ

「」は会話文【】は心の会話と考えてさい

「くそっ! よもや、いきなり攻め込んでくるとは!」

 魔王は呻いた。人間の村を襲撃し疲れているところを何の前触れもなく、この魔王城へと、勇者達が攻め込んできたのであった。

そのために次々と味方が倒され、勇者はすぐ近くまで攻め込んでいた。

側に控えていた、二人の側近たちは覚悟を決めていた。

「魔王ゾフィー様。時間がありません。もう勇者達がここに侵入してきます!」

「ゾフィー……控えの間の扉破壊された……」

 魔王は歯噛みをしながら破壊された扉を見ていた。そうして、勇者とその仲間達が王座の間に駆け込んできた。

「魔王、遂に追い詰めたぞ。お前はここまでだ!」

 人数は勇者を含め、合わせて10人だった。

 側近の一人がとっさに、両手を前に出した、そうすると掌から紫色の光が現れ、勇者達に浴びせられた。次の瞬間、3人の魔法使いの体の一部が溶け、倒れていった。勇者は思わず叫んだ。

「くそ! 話し合いもできないのか?」

「勇者様、対応が遅れたものが倒れただけです。しかし、主要のエトワールの戦力を3人も削るとは、さすがは魔王の側近といったところか」

 勇者の側にいた。魔王討伐の為に作られた騎士団『エトワール』の男の一人状況を報告していた。

「ふん、お前らが言えた立場か? 戦帰りの我らを急襲している癖に!」

「リリアの言うとおり……私達はやり返しただけ……それに」

「今まで、お前らはどれだけの人間を蹂躙してきたと思っているのだ!」

 勇者は側近二人の言い分を遮るように、大きな声で叫んだ。

そして、側近の二人は臨戦態勢を取った。勇者は決意した顔で命令した。

「みんな! もう少しで平和が訪れる。側近の2人には3人で当たれ、俺は1人で魔王をやる。」

 勇者がそう言うと、魔王に向けて黄色い閃光を放った。魔王もそれに応じ黒い閃光で応戦し中空で火花が散っていた。残された残りの6人エトワールは勇者の指示通り、2手に分かれ魔王の側近を囲む。そうして、それぞれが様々な色の魔弾を放ってきた。

魔王の側近達は、すでに魔法障壁を張っていた、だが、さすがに3人のエトワールの魔弾を防いでいる2人の魔法障壁は、ギリギリと音を立てて。今にも破れそうだった。

「3人がかりとは……しかし私も負けるわけにはいかない!」

「ゾフィーを……守る!」

 しかし、側近の一人は自分の魔法障壁が耐えきれないと悟り。守りを捨て、空中に逃げた。しかし、魔弾は追尾してきて。彼女の腰を貫いた。

「が……は……」

 側近の一人は空中から落下してしまった。

「パトリオット! おのれ! 良くも同胞を!」

 残りの側近、リリアは自分を守っている魔法障壁の中で、紫色の光で自分を覆い、魔法障壁を解き、それを周囲に開放した。

先ほどと同じように、紫色の光が、取り囲んでいる3人に浴びせられた。しかし、先ほどとは違い、魔法使い三人じゃ魔法障壁を張っており、その一部が溶けてたいただけであった。

パトリオットをいち早く助けるための行動だったため、あとのことは考えていないため。それは、結果として致命的な隙をエトワールに与える。

エトワール達は、素早く、赤、緑、青の光の矢をリリアに向け放った、リリアは再び魔法障壁を張ろうとしたが間に合わず、とっさに倒れこんで避けた、かろうじて、急所を外すことには成功したが、左の太ももをえぐられてしまった。

「くう、申し訳ありません。魔王様……」

「リリア! パトリオット!」

 勇者と閃光のぶつけ合いをしていた魔王は、2人が倒されたことに焦りを感じていた。

「二人はもう、動けないみたいだな……魔王! あとは、お前だけだ!」

 そういうと、エトワール達も魔王の方向に体を向けた。どうやら、リリアとパトリオットは後でも良いと判断したようだ。

 魔王は考えていた……どうする? ここでわらわは終わるのか? 近くにいる2人は傷を負い、もう満足に戦えないだろう、いくらわらわでも勇者とエトワール6人相手では勝ち目がない。そもそも、いきなり攻めてきたのじゃから軍備が整っておらぬし……

もともと城に居る味方の魔族40万、その援護のため、側近11人のうち9人には外で戦ってもらっておる。そして、魔力の規模から相手は300万以上おると推測した。仮に側近1人が10万人の働きをしても人数差があり過ぎているのう。

それよりも、そこらの雑魚とは違う、勇者とエトワールを相手にどう立ち回る……? 一旦逃げて体制の立て直しを図りたいのじゃが、この城はすでに囲まれておる……

「覚悟、魔王! お前はここで終わりだ!」

諦めかけていた……しかし、そこで魔王は閃いた……この世界から逃げればいいのでは? と。しかし、世界移動の魔法陣は大量の魔力をつかい、力の大半を失ってしまう……だが、この世界以外で再び魔王軍を作り、また戻ってくればいいだろうと考えた。

 魔王はとっさに勇者との小競り合いをやめ、後ろへ下がった。

「リリア! パトリオット! わらわが時間を稼ぐから、お主らは外にいる9人と一緒にばらばらに逃げるのじゃ! そして機会を待ち、この世界から逃げ出すんじゃ!」

 「そんな! 魔王様危険すぎます!……いやそれが魔王様の命令なら遂行するまで!」

 「了解……ゾフィー 気をつけて……」

  リリアはやや難色を示したが、二人とも俺の命令に従ってくれた。

 「逃げるのか、魔王!」

 「はーはっはっ! 勇者よ、今回は負けにしちゃろう。お主は勇者の特性上、この世界から出られないからのう、最後に……喰らうのじゃ!」

 魔王がリリアとパトリオットを逃がそうとしているのを知り、エトワール達は先に2人を始末しようとした。

しかし、魔王の方が早かった。魔王が片手を上げると、一瞬で部屋が光一つない暗闇になり。エトワールは視界を失った。そして勇者に向けて、魔王の掌から黒と赤の奔流が迸った。

 だが、勇者も魔力の反応に気付き、半歩遅れて黄色い光を身に纏った。

「くそっ、不意を突かれた……だがこれくらいの攻撃は想定内だ……しかし、側近には逃げられてしまったか。動けない状態から考えて、転移の魔法か? 気配からして遠くには行ってないようだな」

(やはり今の力じゃ勇者を倒すのは無理じゃったか、しかし、今のいざこざでリリアとパトリオットも何とか逃げれたみたいじゃ、あとはいま床に仕掛けておる、世界移動の魔法陣で、わらわも逃げるとするかの)

 魔王は心の中で安堵した。そして魔王の足元で複雑な魔法陣が光り始めた。

「まずい、世界移動の魔法陣が起動しはじめた」

「さらばじゃ! 勇者、また会えたら会おう……まぁ無理だと思うがの、くーくっくっ! ではの!」

だが、ここで魔王の誤算があった。世界移動の魔法陣の起動が思ったより遅い、仲間を逃がして起動に遅れたのが原因だろう。

「逃がすかっ、魔王! 喰らえ、二つの閃光!(ツヴァイランス)」

「しまった! 時間が! いや、ぎりぎり間に合ぐわあああああああああああああ!」

 魔王の体が消滅する直前、魔法陣が光り、魔王は世界を移動したのであった……。

 魔王が居なくなり、魔法が解け、部屋が明るくなった。即座にエトワール達は外で戦ってるであろう、残りの魔王の側近達を討滅するために駆けて行った。一人取り残された勇者は肩の力を抜いた。

「やっと……終わったか? いや、本当に終わったのか? 最後、ぎりぎり間に合って転移の魔法が起動したが、既に肉体が消滅した後だった……大丈夫なのか……? まあいい、魔力もほとんどなく、体もない魔王に一人で魔王軍の再興は無理だろう。あとは逃げた側近を殲滅すれば、この世界は平和が訪れる。しかし、転移した魔王を完全に滅したいところだが、勇者の性質上、この他の世界に自分自身が転移できないのが心苦しいな……うん! 文句を言っても仕方ない、魔王の捜索はエトワールに任せるしかないな」

 勇者は一抹の不安を残しながら、外に駆け、エトワール達の後について行く

しかし、勇者は知らない。これが全世界の破滅の始まりだということを……


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