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詩集擬き  作者: 針山
89/355

栄勇(えいゆう)



幾多の犠牲を積み上げて

幾重の友人を重ね上げて

私は今

ここで笑っている

遠き未来の先に

私の子供と孫が駆け回る

空は青く遠く高く

陽は暖かく優しく

終ぞ見ることのなかった

見ることが出来なかった

叶わぬ夢が

そこにある

終わらぬ毎日を繰り返し

終わらぬ悪夢を繰り返し

私の両手は

こんなにも重くなってしまった

なんてことさえ

思わない

思えない

後悔などなくなって

麻痺してしまって

解らなくなって

何が悪いのか悪くないのか

何が良いのか良くないのか

そんなことさえ

周りを見なくては解らない

気が付けば

私は笑って頭を撫でる

良い子

良い子と

私に似た

私の子に似た

この子の頭を

多くの同胞を見捨てて

多くの同志を見殺した

私の手のひらで

この子は笑ってくれるのだ

こんな私に

笑ってくれるのだ

良き日と見上げれば

空は青く遠く高く

陽は暖かく優しく

終ぞ掴むことが出来なかった

あの時に夢見た空が

そこにはあった

ここにはあった

ありがとう

そして

すまなかった

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