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詩集擬き  作者: 針山
73/355

箔濁(はくだく)


もうそこに

私の居場所はないから

時計の針が何万回

円を描いて

起き抜けに見た天井が

いつから新鮮じゃなくなったのか

重たい身体を叱咤して

無感情に起き上がる

気怠い身体を無視して

無感動に動き出す

窓から注ぐ空気は

いつから煩わしくなったのか

故郷がどこかさえ忘れて

前だけを見て飛び出した

あの時からいったい

時計は何周したのだろう

真新しかった生活が

いつから消えてしまったのだろう

辛くなって苦しくて

そんな言葉はもう消え去って

ただただ思い出すのは

忘れたあの頃の自慢だけ

もう姿さえ思い出せない

みんなに顔向けなんかできず

心に残ったのは

思い出したのは

今も色褪せない

ただ一人の想い人

泣きたくなって

泣きたくなって

それでもどうにか

生きていて

叶うなんて

敵うなんてなくて

どうにもできなくなって

さようなら

またね

元気でな

いつか

うだつの上がらない

私に

何も変わらない

私に

思い出すのは故郷の風景

何の変哲もない

小さな町

そこで暮らした

青春時代

きっとそこには

今の私はいない

今の私は

どこにもいない

いつかの私が

そこにいる

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