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詩集擬き  作者: 針山
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示鳴琴(じめいきん)



さぁお嬢さん

うさぎは鳴いた

紅茶を片手にモノクルをくるり

行きましょうお嬢さん

外れたピアノの音が流れる

円舞曲には似ても似つかない

優雅も気品も損なった

出来損ないの音色達

今宵は満月と三日月です

壊れたオルゴールが金属の悲鳴を出す

カナリヤにはない高音域

崩れた部屋の壁から

漆黒の森が見えていた

新しい世界はこちらです

手招きする真っ白なうさぎ

大きく赤く見開かれた

そのまあるい水晶玉

外壁が音を立てて欠けていく

今や世界は広大に

今や世界は強大に

夜の帳を

蝕んでいく

さぁお嬢さん

風が吹く風が吹く

髪をたなびき

髪を梳かして

踏み出された一歩を支えるモノは何もなく

うさぎに手を引かれるまま

まっさかさまに消えていく

壊れたピアノが音を消す

オルゴールの最後の溜息が聞こえてくる

激突と衝突

鈍く静かに染み透る

同時にすべての音が

その身を終わらせた

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