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詩集擬き  作者: 針山
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謂訳(いいわけ)



諦める口実が欲しくて

きっと私は生きてきたのだろう

問題が現れて

壁が立ちふさがって

どうにも身動きが取れないなんて

そんな言い訳をして

もっともらしい嘘をついて

もっともらしい嘘にして

だから私は可哀想

なんて

言い訳を用意して

逃げてきたのだ

現実を前にして

想像よりも大きくて

目論みよりも険しくて

高い高い頂きが

まったく見えないから

どこかの誰かが描いた何かを

持ってきた

こんなに難しいから無理なんだ

こんなに大変だから無理なんだ

自分でも気づかないうちに積み重ね

重さに潰れていることさえ解らずに

私は嘘の言い訳を信じている

目を閉じれば過ぎ去ると

耳を塞げば何とかなると

口を結べば終わるだろう

そんな風に

自分の人生を舐めていた

知らなかった

それさえも言い訳で

こんな風になるなんて

それさえも言い訳で

気づいた時には

もう引き返せない

今からでも取り戻せるとか

今からでも遅くはないとか

聞こえのいい慰めを

本気に取って

振り返ることなど何もない

人生を歩んでいた

言い訳だ

私は言い訳をする

言い訳だったことを言い訳に

私はこれから歩いていく

もう遅いなら

もうダメなら

言い訳で築いてきた人生ならば

いっそのこと

言い訳で埋めてしまおうと

開き直って

歩いてみる

きっと

また

同じくらいの時の流れで

今と同じことを思うだろうけど

今の私には

言い訳しかないのだから

付き合っていこう

私がこうして

生きている限り

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