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泥尼手囲(でいでいでい)
駆け抜ける弾丸
通り過ぎた家屋は風に吹かれて
あばら家の陳腐さを嘲笑う
透過した水面を不安にさせ
廃棄物を貪る獣を追い払う
呆然自失になった狩人は
前後左右を間違えた
愛とは違う恋の言葉を
手向けに彼は飛び降りる
占い師が未来を笑って
二人きりの双子が顔を変えた
単純な空が地面に嫉妬して
明快に蛇口が捻られる
君に告げた雷が
弾丸よりも
君に届いた
道中の村は歓喜して
大雨を降らせた大蛇は冬眠する
熊に招かれた引力は
一人二人と誘い込んだ
疲れ果てた猟銃を休ませる
激しい毎晩を繰り返す
夫婦が今日も殺し合う
君と二人で終わらした
世界は今日も
廻ってる




