砂塵老殻(さじんのろうかく)
未来を見ろと言うけれど
未来ばかり見て
今を見ない人が多い世の中
先ばかり気になって
知った気になって
躓いて転んでしまう毎日
遠くの空ばかり羨んで
今日も明日を想い焦がれる
早く明日になれと
今日を蔑ろに
早く時よ経てと
今日を蔑んで
みんながみんな
先の事ばかり
踏みしめる地面はここにあって
踏み出す一歩がそこにないかもしれないのに
将来設計なんて
堅実な装いを魅せて
何も解らない
明日のことを語る
きっと上手くいく
たぶん大丈夫だ
恐らく平気だろう
根拠なんか明日には消えてしまうのに
明日は今日になるというのに
誰も彼もが明日は明日と
信じ込んでいる
さよなら今日
こんにちは今日
明日なんてずっと来ない
明後日なんて見た事もない
明々後日なんて知らなかった
眠って起きてこんにちは
起きて動いてさようなら
はみ出した今日が
明日の私を襲ってくる
昨日となって
今日に喰い込んでくる
悔いこんで
襲ってくる
おはよう今日
おやすみ今日
初めまして明日
始めまして明日
さよなら昨日
バイバイ昨日
陽気な挨拶と共に
私達は今日に縛られる
明日なんて夢を見て
語りながら想うだけ
未来なんて
解らないことを思いながら
今日を明日と言って迎え入れる
おやすみ昨日
おはよう明日
さよなら今日
変わらぬ日が
毎日続いて




