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積拙(せきせつ)
奇跡みたいな初恋に
運命のような失恋だ
そんな好きな人が
ずっと幸せでいてくれますように
変わらない日々を追うように
記憶を積み重ねて
何かを忘れていこうと励んだ
すんなり埋もれていった
誰かと誰かの想い出
きっともう二度と
この世界に姿を現すことはない
きっともう二度と
それは誰のトコロにもいかない
たくさん重ね合った今
いつの間にか昨日
気が付けば去年
誰かの体温さえ忘れてしまいそうな
誰かの日常風景
雪降る空を仰ぐのと同じくらい
それは不確かな希望
切り裂く風に呑まれて
誰かの声さえ忘れてしまう
もう大丈夫
だからだから
お願いだから
君の思い出から僕を消して
君が過す時から僕を消して
君が生きる世界がずっと
幸せであることを祈って