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詩集擬き  作者: 針山
59/355

痛苦(つうく)



思えばずっと変わらない

私は変わらない

小さい時から同じまま

背丈が伸びても同じまま

考えた先に何もなく

考えない先に何もない

苦しくなって

掻き毟る

息ができても

苦しくなる

変化のない私は

ずっとこのまま

変わらないものがないなんて

嘘みたい

きっと世界は変わらない

変わらないようにできている

次第に伸びる身長に

次第に落ちていく視線の先

景色を高いところから見える代わりに

私達はどんどん下を見る

せっかく違う世界に登ったのに

私達は下ばかり見てしまう

足元を

地面を

見下ろして

見下して

変わらない

私は変わらない

そうやってきっと

人は小さくなる

伸びた分だけ

苦しみを持って

苦しくなる

胸を締め付ける

痛みのない苦しみに

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