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詩集擬き  作者: 針山
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羨貶(あまおと)


軒先の屋根に弾む雨音

アスファルトに刻まれる雨音

溜まった水たまりに沈む雨音

遠くで聞こえる踏切の警告音

雨をかき消す電車の振動音

色んな音が私の世界に入り

でもその中で

私と関係する音は一つもなかった

誰もいない部屋

誰も来ない部屋

一人ぼっちの雨の中

私は世界に拒絶される

何処にも繋がらない携帯

誰にも届かない声

温もりなんて知らない六月の冷気

空は灰色の霧に覆われて

窓から見える景色を隠してしまう

世界に私は一人きり

世界で私は一人ぼっち

聞こえる音は私に関係なく

世界を刻み染み渡る

望んで居る場所なのに

我儘にも勝手な感情が声をあげる

聞こえない

聞こえない

誰にもこの声は聞こえない

誰にもこの私は聞こえない

過ぎる時間に意味はなく

残った時間に価値はない

変わらぬ日常を拒んでも

変わった日常は受け入れない

雨音がする

トラックが排気ガスを撒き散らし

水を跳ねて走り抜ける

今を奏でる雨音も

今の私より世界に響く

響かない私は

だからこうして消えていく


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