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苦裂苦(くれっく)
少女の首にかけられた
長い長い白い紐
輪を作り首に嵌まり
尾を作り背中に垂れる
白い紐に
少女は気付かず生きていく
時に人の様に涙を流して
時に人の様に怒りを示し
時に人の様に笑顔を作り
少女は
白い紐を首にかけ
生きていく
誰かが垂れる
紐踏めば
少女の首は絞まり
誰かが垂れる
紐引けば
少女の首は絞まり
白い紐は闇の中
まるで誘惑の様に白く輝いて
掴まれるのを
待っている
少女の首にかけられた
長い長い白い紐
輪は段々縮まって
尾は着々伸びていく
少女は人の様に何も気付かず
ただ生きていく
首が絞まる
白い紐を垂らしながら




