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寂雲(せきうん)
煩い蝉の声
喧しい蚊の羽音
ひりつく陽射しに
蒸れる湿度
夏を表す
言葉がたくさん
今はもう
過去に思える
気がついたら
消えてしまった
教室の窓から覗く
眩しいほどの青空と
漂う入道雲
何もない地平の
田舎道
緑鮮やかな
土の道
走る自転車の
鉄音
笑う彼
電車で見える
ビルの間からは
見えない景色の思い出
揺れる
揺れる
揺れる
泣いた空は
今日も彼を思い出す
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