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詩集擬き  作者: 針山
348/355

散数(さんさく)

火が消えている

熱が冷めている

ふとした時

振り返ると何もなくて

視線を下げても変わらない

あれだけ焦がれた毎日が

あれだけ求めていた夢が

いつの間にか

なくなっている

落としたのは道具で

無くしたのは執念で

気がつけば

空は青く青いだけで

海は青く青いだけで

歩くための地上は

小さな小石しか見当たらない

あれほど邪魔だった石壁が

あれほど堅牢だった人垣が

きれいさっぱり

消えている

足を止めて

止められずに

振り向いて

振り向きつつ

小石を踏んで不快になり

何事もなかったように

歩いてる

ふとした時

気がついた

私が歩いた

この道は

どこかに繋がるなんて

ロマンはなく

どこに造られていくと

段取りもなく

燃えていた焚き木は

黒く霞み

沸騰しそうな熱源は

酷く潰れ

気がついた

私は今日も

青く青いだけの空を

青く青いだけの海を

小石を蹴飛ばし

地上を歩いていく

たった一歩

向きを変えると

前でもなく

後ろでもない

青い

先に

行けることに気がついて






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