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青唱(せいしょう)
青春
青春
青春
好きだった
好き
好きになった
階段脇でいつも見ていた
ロッカー
掃除用具が詰め込まれ
誰が使うのか知らないまま
卒業してしまった階段下
きっと私は
そんな知らない何かを
たくさん見逃しているんだろう
屋上への階段に何があるかなんて
体育館の用具室の隅っこにも
食堂の中央に鎮座する柱とか
知らないまま
知ろうとしないまま
時間だけが過ぎていく
そうしてもう
知る機会はない
青春
青春
青春
好きだった
好きでした
好きなのに
いつか会えるなんて
いつでも会えるなんて
思っているだけで
信じる信じないまで
心はついてきてくれない
漠然と
判然と
いつもと同じように
視線が届くと
視界の端にも
誰もいないのに
夕陽の降り注ぐ
世界になんていられないのに
私はもう
そこにはいない
青春
青春
嫌いにはなれない
嫌いになれない
青春
わからない
知らない
四月の季節
その意味が
少し薄れてしまった




