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濫淡(らんたん)
ランタンの灯りを頼りに
歩いてきた道
整備された砂利道を
軋む音を鳴らし
踏みしめる
街灯は明かりを灯さず
枯れた木のように
首をもたげて見下ろしてくる
真っ暗な闇の中
砂利道を照らすランタンが
金属を擦って
引き締まる音を奏でていく
揺れる灯りに
仄かな足元
進んでは消えていく
後ろ路
止まって見上げる
上空に
もたげた街灯が
笑っている
踏み出そう
灯りを点けて
すぐに消えてしまう
ランタンと共に
砂利が軋む
音を奏でつつ
ランタンの灯りは
先を照らさない




