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詩集擬き  作者: 針山
278/355

葦踏(あしぶみ)

振り返る

ということを

してこなかった

前を見て歩けと

それが正しく良いことだと

誰もが言うから

時には逃げてもいいと

言われるけど

逃げた先を考えないと

意味がないとは

教えてくれない

だから前を見て

だから前を向け

きっとそれが

最適だからと

正解を求める僕は

納得できないまま

振り返る余裕すらなく

生きていく

手を伸ばすことも忘れ

伸ばされた手があることも忘れ

後悔には遅いタイミングで

立ち止まってしまう

踏み出せ

踏み出さなきゃ

そう訴えても

僕の足は

止まったまま

抜かしていく人に

声をかけ

手を伸ばす

振り返る人が

どれほどいるのかも

わからずに



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