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今日風(きょうふう)
風が吹いたから食べよう
きらきら光る気持ちを一つ
項垂れた君の背中から抜き取って
首を落とす君が笑う
抱き締めた聖母が泣きながら
千切った耳を踏み潰す
流れた地面に揺さぶられ
目を覚ます主人を惨殺だ
濡れた手を洗った先に
広がる海を汚染しよう
赤く青く汚く黒く
混ざった気持ちの行く先は
風が生まれた山の中
山彦を一つ食べた山猿が
腹を抱えて転がり落ちる
車の窓に叩きつけ
抜けた毛が風に乗り
流れた毛を
食べた
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