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詩集擬き  作者: 針山
263/355

恋差(こうさ)

夢見た星の行方は

あの日に見た空に消えてしまった

すれ違った毎日

友達と話しながら歩く

貴方の横を通り抜ける

俯き目を逸らし

視線だけを寄越して

笑いながら歩いていく

貴方の背中を一瞥し

明日もまた会えることを

嬉しく思って立ち去る

声をかけないし

声を聞かない

手を伸ばさないし

掴んでほしくもない

恋と呼ぶには拙くて

愛と叫ぶには薄すぎる

想いの熱量はぬるくて

決して大きなものじゃないけれど

毎日この時間この場所で

貴方とすれ違うのが

私の青春だった

おはようとも

またねとも

さよならもこんにちはも

何一つ貴方と共有はしないけれども

それでもこのわずかな数センチ

横を通り過ぎる刹那の一時

それを感じられるだけで

満足だった

きっと貴方は知らないまま

私のことを知ることもないまま

いつかこの道を通らなくなる

その日が来ることを知っている

私は今日も

噛みしめて

味わって

胸にそっと

押し込んで

思い出にしたいと

思ってる

貴方が見る世界を

私は見つめて

私が見る世界を

貴方も見ている

すれ違う

方向は同じで

すれ違わない

方角は同じで

見上げた空は

茜色に染まっていた

ぬるい風が

心地良くはなくとも

ほんのり笑みを

浮かべたくなった


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