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家(いえ)
どうしても取り戻せない
時間もそうだ
過ぎたあの日を懐かしみ
通ったあの時に涙ぐみ
忘れていたあそこで胸を痛める
瞼を閉じれば思い出す
今とは違う自分の姿
取り戻せない
取り戻せない
君のために僕は戦った
嫌いな行動を実行し
好きな感情を捨て置いた
全ては愛する人のため
そのためだけに僕が捧げた
ある日の思い出
取り戻せない
瞼を閉じても
思い出せない
記憶にない
思い出の欠片を
大きな声で笑っていた
あの眩しい日のように
高く伸びた雲が
途切れていく
繋いだ糸が
綻んでいくのではなく
朽ちていくように
傷んだというより
過ぎ去ったが近い
遠くに舞う
風に吹かれ
消えていった
騒々しい
ざわめきと共に




