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詩集擬き  作者: 針山
24/355

『折中暗(せっちゅうあん)』

雨の音がする

さざ波に似た

苛立ちを緩和させる音

冷たい空気が部屋に満ちて

彼の体温が浮かんでくる

バカ面さげた彼のイビキを聞いて

きっと今後文句を言うんだろうなと

アホな事を考える

冷え始めた身体

繋げた手のひらだけが

仄かに温かい

剥いだ布団をかけてやらず

風邪を引けばいいとほくそ笑む

看病する暇なんてない癖に

きっと私は向かうだろう

散らばった服

真っ白のノリが効いたシャツに

手を伸ばす

馴染んだ匂いに腹が立ち

キスをしてやった

カーテンをあけると

小降りになった雨音が窓を叩く

軋んだガラスを動かして

彼の煙草に火を点ける

彼の匂いと味がして

なんだか解らない

気持ちが動いた

剥き出しの肌が震え

煙草を雨で消してみる

呆気なく消える灯り

振り向くと

彼は猫みたいに丸くなって

私は声もなく笑ってみて

まだ大丈夫と

窓を閉められる

彼への気持ちがある事を

確認する

布団をかけてやるほど

お人好しではないけれど



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