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品運(しなかず)
貴方を許さない
私は決して
この世界を赦しはしない
黒煙に慣れた朝食
誰かが消えたから今日は満腹
誰かが残ったから今日は空腹
磨耗の激しい腹時計
日を日を確実に
刻んで刻んでかく消える
嘘のように
丘から景色が消え失せて
嘘のように
私から世界が消え失せて
忘れられない
夕食を共にする
燃え上がる焚きの火は
いつも冷たく寒々しい
増える影に怯えながら
順番を譲り渡す
あげようあげる
譲り合い
聞こえる目覚まし
一睡もしないまま
眠気は覚めて今日も見る
誰かが消えたから増えた一品
誰かが残ったから消えぬ品数
今日は食べよう
明日も食べたい
おかずはもう
残したくないのだから




