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詩集擬き  作者: 針山
21/355

『取者選択(しゅしゃせんたく)』

諦めた人は

諦めたと言わない

諦めない人は

諦めないと言わない

言ってはいけない

確認し誤認してしまう

口に出せば取り返しがつかなく

言葉で表せば形になってしまう

保険の安全

だからみな

口をつぐんで呟き出す

想いに願い

望みに痛み

誰かに聞いてほしくて

誰にも聞かれたくなく

口の中で

語り出す

伝わらないとわかっているから

言えるセリフ

伝わると理解しているから

言えるセリフ

取捨選択の迷想

傷もなく

怪我もなく

外傷もない

勘違いの苦しみ

こんなに痛い

こんなに苦しい

誰にもわかってもらえない

袋小路の行き止まり

理解してほしくて

理解してほしくなくて

我が侭な感情

何もなくなった

死の瞬間にボロを出す

だけどきっと

その時には

聞いてくれる人など

どこにもいない

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