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快渇(かいかつ)
わずかな乾燥
ほのかな湿気
上気する吐息
上下する鼓動
柔らかくも鋭い陽光が
室内を占領し始める
眠い目を擦り
身体に力を入れ猫のように起き上がる
ふとした時に見える
彼の横顔
外見からは似つかわしくない
さらさらの髪
無骨な手のひらは
普段の彼のように
貴重な朝の自由時間
好きなことの一部に
撫でる髪
いつまでも続けばいいと
秘密の空間
誰にも内緒の
ひと時の至福を堪能し
あとはいつも通り
たたき起こす
笑って騒いで
いつも通りに
ちょっとばかりの未練も
残さないように
まっすぐ眼を見て
瞳から逸らして
おはよう




