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詩集擬き  作者: 針山
199/355

愛恋(あいれん)



恋をした

何か変わった

特別な恋じゃなく

ひどく平凡で

至極一般的な

恋をした

朝起きて

気がつけば走ってる

何かある

とかじゃなく

何かない

とかではなく

ただ夢中に

駆けている

この先に

あの人が

この向こうに

あの人が

待っている事はなくとも

居ることが解ってるから

だから私は

朝起きて

早く着いて

探してしまう

ほんのちょっとの

いつもの景色

少し僅かな

いつもの風景

その中に

あの人が居るのを願って

私は明日も

走ってみる

特別な出会いも

特殊な状況も

特異な関係でもないけど

平凡で普通

ひどく一般的な

恋をした

ただの一言さえ

口にすることが出来ない

ただすれ違うだけでも楽しい

面白くも

話題性も

何にもないけれど

私はそれが

この恋が

とても待ち遠しい

走ろう

早く

早く

叶うとか

叶わないとか

そんなの考えずに

私は走る

明日もまた

恋をするから


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