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詩集擬き  作者: 針山
171/355

怩獄(じごく)


帰りたい

帰りたい

帰りたい

誰も傷つけない

つけてこないところへ

帰りたい

心に殻を作って守って

心に柵を作って遮って

私と他人の囲いを作って

安全に安心

安堵に安寧

私はここで終わるから

貴方はそこで見ていて

こっちに来なくていいから

助けを呼ぶなんてしないで

いとも簡単に嫌悪をぶつけ

いとも容易く悪意を放って

私を見て

囁くの

私を見て

呟くの

痛い痛い

苦しい苦しい

辛い辛い

嘘っぽい

痛くて苦しい辛さを

嘘だと思って見てみぬフリ

解らないの

私が何をしたいのか

解らなくて

苦しいの

解りたくて

辛いの

解るからこそ

痛々しいの

私は弱者

弱い弱い心の中で

いつも他人を飼っている

見ないで

来ないで

ここは私の領域

他人はどうか

そこで見ていて

私が醜く汚く

朽ちていく様を



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