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詩集擬き  作者: 針山
148/355

恒救不偏(こうきゅうふへん)


狂いすぎた世界を見て

平和だなんて口にする

迷子になった誰かの未来を

世界中探し回っても見つからない

口笛を吹いて歩いた坂道に

開けた木々から眺める海原を

繰り返し知らせる

迷子のお知らせ

ヘルプミーヘルプミー

夜になっても迎えに来ない

誰かの名前を叫んで泣き始める

嬉しそうに泣いてるあの子がいた

悲しそうに笑ってるあの子がいた

昨日と今日をずっと探して

どこにも行けない明日と手を繋ぎ

大きな声で手を叩こう

見失った左手の行方は

大嫌いな君しか知らない

変わりゆく赤と緑の青色

ギブミーギブミー

不味くて甘い

慣れ始めた日常を愛おしいと

狂った想いで口にする

宵闇も日暮れも混ざり混ざった

モミの木に飾られた浮き輪がずり落ちる

似ている君と似ている私が

夜を嫌って夜にする

迷子はどこかにいるのに会えないまま

僕らの歩み寄りよりも激しい揺れに身を任せ

寂しそうに後ろを振り返る

美味くて苦い

夜に揉まれて

リズムを刻んで

未来に行こう

今は会えない

誰かの誰かを

無理矢理掴んだ誰かが誰かのまま

狂った世界に平和を

平和な世界に狂想を

真っ白な常識なんてものを支えに

平和なんて真っ黒な世界を描こう

吹きすさぶ冷たい風しかないそこも

僕らの世界じゃ平和なんだし

私の世界じゃ地獄だから

甘くて苦い迷子を連れ

悪夢とさして変わらない

明日を手に取り夜を

迷子はいつかのまま

驚かさないように

寝静まったままに

口笛を吹く


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