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極落(ごくらく)
くるりと世界が回れば
貴方はぽとりと落ちてしまう
何処に居ても
何所に入ても
世界はたった一つに繋がっているから
思い起こせば大失態
思い忘れれば大爆笑
ずれる街並みに斜めの鏡
ほんの少し押し込むだけで
綺麗な音色が響き渡る
渡った川の向こう側
架けた橋のこちら側
そびえ立つ両脇に
壁をせっせとこしらえて
粘土細工の如く練り込ませ
人を埋めれば出来上がり
立派で立派な架け橋だ
世界をくるりと回ってみれば
世の中はすんなり収まって
諸行無常の理を
いつか夢見た哲学者
歌人が歌うは時の華
終わらぬ人生に
祝福を
変わるに人生に
祝福を
さしてつっかえる並木道
歩く散歩道には
人の山




