第一話 天才
こんばんは
天才な少年の幼少時の話です。
ずしってくる重たさを意識しながら書いてみました
少し量が少ないですが…
昔から『絵』が好きでした。
絵を描いている自分が好き、とかではなくって
純粋に絵が好きでした。
児童園に通っていた時に、とある一枚の絵を描きました
それは至って普通な、母、父、兄、そして私の家族の絵でした
しかしそれは奇妙な、子供が描いたとは言い難いものでした
母に見せたら凄いと普通の褒め言葉をかけられましたが
その日から私のことを『普通ではない子供』として見ていました。
あの『天才』と言いますか、『鬼才』と言いますか
もしかしたら『異物』としても見ていたのかも知れません。
まぁ、今の自分から見れば奇妙な絵でした。
バランスや、全体的には特徴を捉えていながら
子供らしくない絵でした。
背景は真っ黒で、どこにいるかさえわかりませんでした。
それが、私の孤独な、所謂天才少年の始まりだったのでしょう。
また母の喜んだ顔が見たい、父から褒めてほしい、という自己承認欲求が高まり
何枚も描いては見せ、描いては見せました。
もうその時には絵でさえも親に褒められるための道具としてしかとらえていませんでした。
しかしどんなにその好きという思いを自分が踏み躙ったとしても、決して無くなりはしませんでした。
友達と遊ぶことさえ忘れ、一日中部屋にこもってはクレヨンや紙と向き合いました。
そしてその数日後、母は私にこう言いました
「アトリエに通ってみないか」と
「才能があるんだし、それを無駄にするのはもったいないでしょ、ね?」
その問いを私に向ける時の家族の目が怖かったのを覚えています。
そして私は、(普通の子として愛されたかった。)と強く思ったことを覚えています
そして、年長に上がると同時に私はアトリエ教室へと通い出しました。
見学では口を開けば
「この子は将来画家になる」だとか
「千年に一度の神童」だとか
様々な言葉が私に向けられてきた異様な空間でした。
まるで、その言葉はお前だけのためにあるのだ。
だからお前も頑張って私たちの期待に応えろ。と
少なくとも捻くれ者である私にはそうとしか聞こえませんでした。
それが一番、辛かったことなのでしょう。
そこで自分が周りと違う、と感じたのは
周りの子に比べて自分に異様なほど執着してくることでした。
帰り支度を始めたり、違う絵を描き出しているのに
そこにいる先生は私の絵に時間をかけさせ、筆が折れそうな程指摘をしてきました。
(そのお陰で今の私がいると言っても過言ではないのですけど…)
「まだ帰ったらダメだよ。もう一枚描いて」
と言われるぐらい嫌というほど描かされました。
その頃は年長も終わりかけで、小学校上がる準備をしていた頃合いです。
友達とも外に遊びに行くようになり、絵のことは完全になんでもよかったのに
強制的に書かされるあの空間が嫌いでした。
油性の絵の具の匂い、それに混じっている鉛筆の匂い。
見えているのは胸像や、デッサン用の画架。
全部が全部、大嫌いでした。




