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晴井彗 その11

「よろしくお願いします。先行、ドローなし、リソース青。セットして中央に移動」


 予選五試合目。ここまで調子よく四連勝してきた俺は、とうとう敗北することになりそうだった。

 いや、顔を見た時点でもうダメでーす。即投了です。俺の負けでもなんでもいいから!!


 俺の性癖なんて誰も興味ないし憶えていないと思うけど、俺はおっぱいと幼なじみが好きだ。

 まあ、昔のアニメでトラウマになった訳なんだけど、その時の影響でね。あまり大きな声じゃ言えないんどけどね。肌が紫で悪堕ち異形化した、ハイレグ悪の女幹部にもとことん弱い。


 で、困ったことに今の乳母崎さんは俺のハートを直撃している。過呼吸になりそう。負けました。好き過ぎる。最高。感動して泣きそう。

 上から見る? 下から見る? それともおっぱいから?? ここは美味しい所は最後に残して、全体の印象、次に顔見て脚から上がっておっぱいにしますね。


 全体的に左右非対称で、右半身に異形部分が固まってるのは完全に堕ちていないとか、魔物とのハーフとかっぽい設定でよくあるけど、そもそも左右非対称だからシルエットの時点で格好いい。

 ご丁寧にアクセサリー類まで左右非対称で右側はゴテゴテした装飾や(びょう)が生えたベルトに対して、左側はシンプル、パワーが右側に集まってる感じがする。


 髪の毛は赤と黒のツートンカラー、左側はいつも通り鋭角で落ち着いたボブカットなのに対して、右側は燃え上がるようにたなびく血のような赤。しかもヤギみたいに螺旋を描く大きな角が生えている。格好いい。

 見慣れた形の目、まつげ長い。左も紫系のシャドウ濃いめだが、右はビジュアル系バンドみたいにトゲトゲしてる。ルージュは青紫、うーん。この二つはちょっといただけないなぁ〜。


 でも、全体的にバランスは良い。悪そうで病んでそうで、なによりも元が美人すぎる。なんでも似合う。いくらでも推せる。


 頬や首、右全身には侵食されたか毒の状態異常みたいな青紫のシミがある。悪魔的カラーリングで、痛々しさと同時に背徳的な美しさがあるのだけれど、シャドウとルージュは似た色なのはむしろ目立たないよね、せっかくだからブラックとかどうよ? 

 右目は白目が黒で瞳は縦瞳孔の金。いわゆる火眼金睛(かがんきんせい)ってやつ? むちゃ格好いい。睨まれたら心臓麻痺しそう。目線ください。ずっと見てたい。


 ちなみに両足ともグラディエーターサンダルみたいなベルト山盛りでブーツみたいなハイヒール。右手右足だけ黒いマニキュア。

 左脚は網タイツ、右は太ももに黒いベルト。太もものお肉をキュッと締めてるこのベルト、えっちすぎる。網タイツはレギュレーション違反レベルなエロスなので言うまでもないよね?


 俺は下半身にそこまで執着が無いのだが、それでもこの乳母崎さんの脚は素晴らしいね。

 今まで隠されていたものが見れただけでも刺激的なのに、そのうえこんなにムチムチでスラッとしていて、ああ〜、語彙が足りない。


 アンダーはエグいV字の黒ハイレグで、謎の黒いベルトから左右にゴールドのチェーンが伸びている。右はゴツくて重そうで、途中に針みたいな装飾がぶら下がっている。左は繊細な金糸。どっちもセクシー。かつ、V字がエグ過ぎてドキドキしちゃう。

 でも臍の下のギザギザハートのマークは減点だな。何度も言うが紫は色が被ってるので原色赤とか黒の方がいい。デザインは悪くないけど、正直地味。そこはエロスを際立たせる存在なので、もっと目立たせるべき。


 それにしても黒と金の並びはゴージャスかつエロ過ぎる。そもそも乳母崎さんの肌は雪みたいに白くて黒が映える映える。目が眩む! そこに輝くゴールド。さらに肌に走る無数の青紫のシミ。

 このシミが異物感と同時に背徳的というか、完璧でないがゆえの凄まじい色気を出している。


 分かるだろうか、病的なものに抱く保護欲。金で継いだ茶器の美しさ。そうあるべきではないという違和感と、渾然一体とした、だからこそのエロスがそこにあるというか。

 神の造形。ボディペイントだとしても塗った人は天才。もうね、見てるだけで全身が総毛立つ。これが芸術への感動か。おっぱい以外に対してここまで心がときめくとは思ってなかった。


 右だけ上腕に鋲付きベルト、腕にはゴツくて装飾多い中世風金の腕輪。左手は黒い長手袋に繊細なブレスレット。

 手袋は俺のイメージする乳母崎さんに近いが、肌の露出が多すぎて目が潰れそう。潰れてもいいから焼き付けなきゃ!


 左側は比較的シックにまとめようとしているんだろうけど、素材が良すぎて溢れる色気でエロエロのドスケベじゃわい。


 さて、とうとうお待ちかねのおっぱいでございます。こうして見てみると胴体が(ほっそ)い。キュッと締まってアバラもうっすら見えちゃって。

 そこに脂の乗ったメロン……いや小玉スイカみたいなダブルのバスト。恐ろしく張りのある、ロケットみたいにナマイキに天を衝く(いただき)と、その(ふもと)の高低差は言うなればカラコラム。


 俺の目測では102のKカップ。さっきはK点越えだと思ったが、おっぱいにおけるカラコラム・ツーと呼んでも差し支えあるまい。なにしろおっぱい上部は床から見て水平。つまり胴体から考えると垂直の壁。まさに断崖絶壁!

 Kカップということは、アンダーとの差は驚異の35センチ。なんとアンダーが67で胸囲の三分の一以上をおっぱいが占めている計算になる。三分の一だよ? 地球上の水の割合とほぼ同じ、35ということは気温で言うなら真夏日を越えて猛暑日。身体が夏になっちゃう!


 その大きくて張りがあってしかも適度に柔らかくて身動(みじろ)ぎする度にプルンと震えるおっぱいを支えるのは、心許(こころもと)ないほど細い紐。

 シンプル極まるゴールド&ブラックの二重装備。どっちも紐だからパイ圧に耐えられるのかが心パイ。いや心配。


 黒い方の水着は鋲付き黒革の首輪から斜めに延びている。これって支える効果あるの? エロいだけでは?

 エロいならそれだけで十分ですね。百点満点中の七億点くらい。


 それにしても例のシミ、おっぱいにもある。クソ! こんな無法が許されていいのか!? どこの誰が描いたんだが知らんが羨まし過ぎるだろう。乳母崎さんのおっぱいをキャンパスにしてる時点で叫び出したい程の嫉妬で狂いそう。女かもしれない? それがどうした! 乳母崎さんのこのおっぱいに絵筆を走らせた奴がこの世に存在することそのものが俺にとってどれほど苦しく、同時にそうして生まれたこの芸術に心掻き乱されるか、分かるか? 俺にも分からない!!


 ああ、俺が今まで見てきたおっぱいは何だったんだろうか。

 この乳母崎のおっぱいに比べて、他のおっぱいも輝かんばかりで素晴らしく心洗われ救われる究極にして至高の存在ではあるけれど、乳母崎さんは芸術点が頭一つ抜けている。


「もしこの肌と目と髪が、本物だとしたら? どう思う」

「えっち過ぎる……」


 突然問いかけられて、俺は即答した。


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― 新着の感想 ―
前話の最後の問い、とってもすごく、人生をかけた真剣な問いだったのに……のに……。 今話読んでいたら、先輩の答えに、「そっすね」と冷めた相槌を(相槌うってあげるだけでも親切!)心の中で打ちました。 先輩…
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