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猫魂ケイト その03


【猫命:お待たせ、今出るね!】


 猫魂(ねこだまし)さんからのRAILの直後、家から本人が飛び出してきた。

 おおう、キメッキメというか、上から下まで猫魂さんというか。


 今日はキチンと撫でつけた頭には猫耳カチューシャ。ピアスも猫。シルバーのネックレスも猫。

 三毛猫柄の猫耳フード付きパーカー、背中によじ登ろうとする猫のぬいぐるみ型のリュック。


 腕時計も猫。ソックスも猫。スニーカーはプーマ。スカートはなんだか可愛いチェック柄の超ミニ。多分あれも猫関連。


「ぶぶー! ダメでーす! やり直

し!」

「うわ! なんでそんな高そうなクルマなの!?」


 真っ赤なスポーツカーからイエローカードを掲げる俺に、猫魂さんが仰天する。

 仰天したのはこっちだっての! 猫統一パ、おみそれしました。統一感あって、そのクセごちゃごちゃし過ぎないセンスには舌を巻いたよ。でもそのトップスはダメだ! ダメダメー!


「それ下着でしょ!?」

「あ、バレてる。ケーくんなんで知ってるの?」

「おっぱいの関係だ。詳しくない訳があるまい。キリッ」


 きゅっと締まったくびれ、可愛いおヘソ、完璧なお腹のラインを露出したへそ出しスタイルはまだ良い。

 しかし、みっちみちにおっぱいの詰まった黒いトップスには、猫ちゃんマークの穴が開いている。正面から見える縦の谷間!


 それは猫穴ブラ。下着です!


「ええ〜? 可愛いからいいじゃなぁい」

「猫魂さんを下着姿でウロチョロさせるなんて、天地が許してもこの俺が許さない。大稲(だいな)デイヤにも申し訳が立たない」


 というか、シスターは全く参考にならないから。水着姿でもオーケー出すでしょ!? 本人がいずれ水着姿になるつもりなんだからなー!?


「あれ? マナミさん?」

「そうですよぉ、今日はよろしくねぇ〜」

「猫魂さん、その人は実はかなりヤバい人だから、話を聞かなくていい。だから回れ右して服を着て来なさい」


「ええ〜、晴井さんのいじわるぅ〜」

「そーだよケーくん、マナミさんに失礼だよ!」

「猫魂さんは騙されているんだ……ねこだましだけに。

 じゃなくて、シスター降りてください」


 車を降りる俺、渋々出てくるシスター。猫魂さんは一瞬理解できず、すぐにシスターの異様さに気が付いた。


「かっこいい! 女スパイみたーい!」

「わかるわかる〜? 脱いでもスゴイのよぉ」

「えぇ……」


 あれ? 俺がおかしいのか?


「ケーくん、一応言っておくとね」


 困惑する俺のところに猫魂さんが、寄ってきた。猫穴下着をぐっと引っ張る。キャッ、見えちゃう!? もちろん俺はガッツリと見た。心の底でバンザイとファンファーレが鳴り響く。下着の中を見ていいの!?


「ヌーブラしてるの」


 薄いピンクのヌーブラが、正面から見えないように大事な部分を護っていた。ぐはっ。俺は死んだ。

 下着の下に付けた下着を直で見せてもらえるなんて…………もうダメだ。天国が見えた。




 気が付いたら会場に着いていた。

 うお!? 猫魂さんのおっぱいで途中全ての記憶が飛んだぞ!


 俺たち『チーム猫を讃えよ』は受付で参加登録を終えていた。公式のメンバーカードを提示し、デッキリストを提出する。

 大会ではこのデッキリストに書かれたデッキしか使えない。抜けがあったり、誤りがある場合は反則負けになる。それが悪質だった場合は出禁もあり得る。


 公式メンバーカードは、『アルメ』の公式大会のランキングなども関係する。今回の大会はランキングに関わらないらしいが、まあ、身分証明みたいなもんだ。


「猫魂さんはランキングとかは?」

「メンバーだけど分かんないかなー」


 メンバーカードは『アルメ』関係の身分証であり、持っているだけでイベントプロモーションカードを貰えたりするので、ただ入っているだけの人も多い。


「晴井さんは?」

「今92位です」

「二桁! すごいじゃな〜い」

「すごいの?」


 小首をかしげる猫魂さん。すごくはない。多くの場合50位が本戦参加のラインだ。つまり、そこそこのレベルって事だ。


「そういえば、わたしのカード紙だけど大丈夫かしら〜?」

「IDを手入力できますので。田草真波さんですね? 三年以上公式対戦していないのでランキングは無し、今度お手すきの時に公式ショップでカードの更新をお願いします」


 今の俺たちはQRコード付きのプラスチックのカードだが、シスターは紙のカードにラミネートをしたものだ。年代物である。

 パンフレットを貰いルールの確認。まずは午前中に予選としての個人戦、ランダムで選ばれた六名と対戦し、勝率の良い八チームが本戦。


 本戦は三対三、トーナメント方式。準決勝からは試合前にサイドボード投入可能。先鋒・副将・大将は後々変更不可。

 俺たちの大将は当然猫魂さんだ。大稲デイヤも大将だろうし、他の選択肢ない。シスターが先鋒をやりたがったので、俺が副将だ。


 ちなみに参加料は三千円。本戦に出ると賞金が出る。スポンサーが太っ腹!

 優勝は百五十万、二位は六十万。準決勝出場は十五万で予選突破で六万だ。


 俺たちの大目標は大稲デイヤなので、お金ではない。まあ、本戦に出れば当たるでしょ。『運命潮力(ディスティニー・ドラフター)』もあるし。


 ちなみに小目標として、メイドのマカラへのリベンジがある。もう一つ、乳母崎さんの動向についてはイマイチよく分からん。

 悪い事してたらシスターが止める。


「そういえば、わたしはここではシスター・マナミではないのでマッハと呼んでくださいね〜」

「マッハさん。速そう」

「アイルランドの神様の名前で、音速の由来だから〜」

「え、ボルトとかカルビンみたいに人の名前だと思ってたし」


 単位の話ならそれはケルビンかな?




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