最終話 お菓子な物語
最終話!!
その後のこと。
ゼラフと闇の精霊によるゴタゴタが片付いた後に浮上したのが共和国の大統領となったアラファの問題。
ただこれはアラファはきれいさっぱり精霊の力と共にお返しすることにした。
結果、グズモ党の党首、ゲンツにその立場は譲られることになった。
『何かお下がりみたいで変な気持ちやけど……まあ見合うように頑張るだけやな!』
『あーしも支えるからね☆』
二人ならスート共和国をこれまで以上に発展させていけるだろう。
『呪いが無くなったんだってな』
『良かったではないか』
スカフの事情を知るザフト連邦の菓子職人ブロスとヤコブ村長はそのように喜んだ。
『……そうでしたか。だとしても私のすることは変わりません。シエモス様の教えを……まずは教会の上層部に伝えなければならないようですね』
今回の騒動でシエモス教の裏側を知ることとなったプーナ神国のカプラ神官は言葉こそいつも通りだったが、その声には気合いが入っているように思えた。
『闇の精霊……一度戦ってみたかったが』
『恩の清算については国に戻り次第まとめておきますので、よろしくお願いしますね』
ポーディニア帝国のオグネー将軍とソルト帝とはそのように約束を交わし。
大陸全土会議は終了した。
その一ヶ月後。
王国の外交特務室にはいつもの4人が集まっていた。
「今回の外交特務室の仕事はポーディニア帝国が行き先となる」
「早速恩の清算ってことね」
スカフ王子の言葉に返すアラファ。
「帝国の状況はゴタゴタだ。もっと積極的に他国を攻めようと考える侵略派、他国と強調すべきという穏健派が日夜鎬を削っている上に、どうやら帝国の地に恩恵を与えている炎の精霊が子供の姿を持って実体化したという話もある」
「高次エネルギー体であるはずの精霊が実体化ですか……それは何が起こるか分かった物じゃ無い状況ですね……」
マギニスの説明にノーナは頷いている。
「今回僕たちは非公式で招かれる。まあ帝国と王国の仲も良くないしね。大勢で行くわけにもいかないし少数精鋭の形だね」
「その一員に私も含まれるってわけですか。でも私、お菓子くらいしか作れないですよ」
「さっき話に出た実体化した炎の精霊がどうやら甘い物好きなようで、おそらくそっち関係で呼ばれたんだろう」
「はぁ、なるほど。……精霊、精霊ねえ。どんなお菓子が好きなのかしら?」
早速脳内でリストアップを始めるアラファ。帝国にはカカオもあるって話だったし、チョコ系統の物色々作りたいわね。
「…………」
それにしても今日の私はいつも通りの感じじゃ無いかしら。
闇の精霊騒動の最後、魔力欠乏に陥ったスカフ王子にマウストゥマウスで魔力を受け渡したアラファ。
言うなれば溺れたときにする人工呼吸みたいなものだし、非常事態だったから仕方ないことだと思ってたのに……。
それからすぐの間はスカフ王子の顔を見る度にそのときのことを思い出しては頭がパンクして避けていた。
私とスカフ王子じゃ釣り合うわけ無いのに…………って、釣り合うってなによ!? 何か私がそういうこと意識してるみたいじゃない! 無い無い、私が好きなのはお菓子だけ!!
自分から思い返して自爆したアラファは手で頑張ってあおいで顔の火照りをさまそうとする。
「…………」
最近ようやくいつも通りのアラファに戻ってきたな。
同じタイミングでスカフ王子も安心していた。
大陸全土会議が終わってすぐぐらいの時は、妙にアラファに避けられていた。
特に覚えが無く嫌われたのかと思ったがこの様子だしそうではなかったということだろう。
(だとするとどうして避けられていたのか……一つ思い当たる節があるとしたら……)
ゼラフが消え、呪いが解除された後、僕は魔力が欠乏して気を失った。
次に意識が戻ったのはパラク宮殿の中庭だった。マギニスとノーナ嬢に看取られながらのことだった。
二人に状況を聞くとアラファに任されて状況を見ていたとのこと。ただ特に何かをしたわけではないらしい。
魔力が欠乏していたはずなのに、すっかり健康になっていたこと。もし魔力を受け渡されていたとしたら……その方法は、それが出来たのは…………つまりあのとき唇にかすかに残っていた温もりは…………。
「…………っ!」
だとしても……僕には関係ない……この胸の高鳴りだとか、体温の上昇は関係ない、ただ暑いだけだ…………!
「それにしてもこの部屋暑いわね」
「奇遇だな、僕もそう思っていたことだ」
「最近なーんかスカフ王子と先輩の様子怪しいと思いませんか」
「そうだな」
そんなことを言い出した二人を見ているノーナとマギニス。
「うーん、やっぱりあの空間の裂け目の先で何かあったんですかね?」
「何度か話を聞いてみたが、はぐらかされたな」
「まあ何にしろ進展したみたいなら何よりですね! 本当お似合いなのにいつになったらかとやきもきしてたんですから」
「ああ。本当あいつは鈍感だからな」
「…………それ、マギニスさんが言えたセリフですか?」
「……?」
ジト目のノーナときょとんとしているマギニス。
「ポーディニア帝国が終わったら続けてプーナ神国に向かう。現在教会の上層部とバチバチに争っているカプラ神官からアラファの力を貸して欲しいという頼みがあってな」
「私の……? つまりお菓子絡みですよね? でもシエモス教はお菓子禁止なのに」
「先輩の力を認めたってことじゃないですか?」
「それにしても連続とは忙しないな」
「すまない。僕の野望…………いや、夢である『世界平和』を実現するために力を貸して欲しい」
呪いが解除するためだったそれを、解除されてなお掲げるスカフ王子。
「……承知しましたよ、王子様」
「微力ながら頑張ります!」
「全く……まだまだおまえに振り回されそうだな」
外交特務室は今日も朗らかな雰囲気に包まれていた。
<お菓子作りが趣味なメイドは気付かない内に王子の餌付けに成功していたみたいです 『完』 >
書いてて楽しい物語でした!
ここまで読んでいただきありがとうございました!




