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62話 お菓子な神国


 ザフト連邦とのお茶会はつつがなく終了した。

 時刻は夕方、続くのが本日ラストとなる4回目のお茶会だ。


「それにしても一日でお茶会開きすぎじゃないかしら?」

「しょうがない。元々今日と明日で分かれていたけど、舞踏会が明日の昼になった結果一日で終わらせないといけなくなったから」

「あー……それもそうね」

「予定変更……調整が本当に大変だった」


 アラファとロチュは準備を終えたが、開始時間まではまだ少しあってお茶会会場のガゼボを遠巻きに談笑している。




「それで最後の相手が大陸の北、プーナ神国よね」

「プーナ神国……その国土は風の精霊が治めている」


 アラファからお願いするまでも無く、早速説明を始めるロチュ。


「風の精霊?」

「そう。その影響で自然は荒れている。けどその代わりの恩恵として――」

「…………」

「強い風がよく吹く」

「……いや、それって恩恵じゃなくない? 風が吹いても大変なだけでしょ」

「仕方ない。別に精霊は人間のためにあるものじゃないから」


 精霊って不思議な存在ね。それにしても強い風……風車があれば発電出来るかもしれないけど、この魔法の世界に電気は無いのよね。




「そんな困難な地で生きる人々の支えがシエモス教。

 プーナ神国の民衆のほとんどがシエモス教を信仰していて、国の運営もシエモス教の教会組織が担っている」

「カプラ神官が国を代表して会議に参加しているものね」


 んーでも、宗教によって成り立っている国ってどんな感じなのかしら?

 アラファはちょっと想像してみるが、それが良いことなのか、悪いことなのかも分からない。

 こうみんな信じる物が一緒って色々都合が良さそうだし、団結力とかも高そうだけど……警戒するのは私が宗教を勝手に恐れているからかしら?

 昨夜カプラ神官と相対したときも思ったが、現代日本の記憶が宗教を勝手に胡散臭いと判断してしまうアラファ。




「シエモス教って実際どんな宗教なのかしら? 昨日お菓子禁止だってのは分かったけど」

「それは……私もあまり知らない」

「あら、そうなの」

「お菓子の禁止から分かるように基本的には禁欲的。貧しい国土でも生きていくためにそうなったんだと思う。

 そんなカプラ神官にアラファは何のお菓子を用意したの?」


 逆にロチュの方から問われる。




「用意するお菓子は前もって決まっていて、カプラ神官にはいちご大福ね」

「……大統領と同じ? 好物なの?」


「いえ、カプラ神官だけはスカフ王子から指定があったのよ。先に決まっていた大統領と同じいちご大福でいい、って。

 そのときは他のお茶会のお菓子を考えるのに忙しくて『考える手間が省けてラッキー』くらいにしか思わなかったけど。

 今考えてみるとスカフ王子は当然シエモス教のお菓子禁止のことについて知ってるわけで。でもそれを私に伝えたら反発して面倒なことになる。

 だからその情報は伏せて、お菓子も用意してもどうせ食べられないだろうから手間がかからないように一緒のを使わせた……ってことじゃないかしら」


 スカフ王子の配慮を伝える。




「なのに夜の町でアラファとカプラ神官はばったり出会ったと。王子も大変だ」

「私は悪くないわよ。……まあそういうことだからこのお茶会でもカプラ神官はお菓子に手を付けないでしょうね」


 アラファはさっぱりと言ってのける。


「……いいの?」

「いいに決まってるわよ。……いや、嘘。別に良くはないけど、無理やりお菓子を食べさせるのも間違っているし。ただ……」

「ただ?」




「お菓子を無益な物だって言ったことには納得するつもりは無い。この会議期間で絶対に見返してみせるわよ」

 ギラギラと闘志を燃やすアラファに。




「……あまり周りに迷惑かけないように」


 ロチュは一応注意するが、アラファの耳には届いていないようだった。


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