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48話 お菓子な繁華街


「今頃ノーナ上手にやっているかしら」


 アラファはキッチンに残してきた後輩ノーナと護衛マギニスのことを思う。


 ノーナはあの様子からしてマギニスさんのことは気になっているはず。だからこそ二人にしてあげた。うーん、私良い先輩じゃ無いかしら?


 自画自賛するアラファの頭の中から『余計なお世話』という単語は抜け落ちている。


 まあでもノーナは恥ずかしがって行動出来ないかしら。マギニスさんの方から特に何かすることも望めないし……進展は難しいかもしれないわね。


 そうやってアラファが思考する同じ頃、ノーナはマギニスの口にいちご大福を突っ込んでいた。








「いちご大福……おいしい。それでどこに行くの、アラファ」


 一緒に連れ出した結界魔法の使い手、ロチュがアラファからもらったいちご大福を食べながら尋ねる。


「そうねえ……どうしようかしら」


 アラファは周囲の夜のスート共和国の町並みを眺める。パラク宮殿の周辺は繁華街となっているようで夜にもかかわらず魔力灯でこうこうと照らされている。

 町に出るってのはノーナたちを二人きりにするための方便でしかなかったけど、せっかくだしちょっと回ってみようかしら。


「そこらへん散歩しましょうか」

「私は何でもいい」


 ロチュとアラファは並んで歩き回る。

 時刻は夜8時過ぎ。

 繁華街には酔っ払って盛り上がる人たちの熱気がすごいことになっている。


「この賑わいっぷりは王都以上ね。すごいじゃない。いつもこうなのかしら?」

「いや。会議が開かれてるから」

「……? どういうこと?」

「会議が開かれている間、活気があるように見せたい共和国の施策と、私たちみたいに余所から来た会議参加者が町に遊びに出てることの影響」

「あー……なるほどねえ」


 大陸全土会議。内容は真面目なものだけど、単純に人が集まるって時点で色々盛り上がるわけで。ちょっとしたお祭り騒ぎみたいになってるわけか。




 ふむふむと頷きながら繁華街の雑踏を歩いていたそのとき、アラファのすぐ背後辺りでドン! と何かぶつかった音がした。


「ん? 今何か……って、子供?」


 見るとそこには子供が尻餅を付いて転んでいる。目を白黒させて何が起こったか分からない様子だ。


 大人だけじゃなくて子供もはしゃいでいるようね。走り回って転んでしまったと。

 …………あれ? でも今ドンってぶつかった音が聞こえたわよね。何にぶつかって……。


「結界魔法。アラファの周囲に展開している」


 ロチュが状況に気付いて言う。

 結界魔法……そういえば目に見えない壁みたいなのを張れるのよね。私の警備のためって言って連れ出したこと律儀に守ってたのね。それでその壁に子供がぶつかったと。


「大丈夫かしら?」


 アラファはその子供を起こそうと手を差し伸べて。


「ひっ……!?」


 子供は異常に怯えて後ずさり、飛び上がるように立ち上がって、逃げるように駆けていった。




「え、逃げて……どうして? 私そんなに怖いかしら?」


 伸ばした手が空を切ってちょっとした虚しさと子供に恐れられたことにショックを受けるアラファ。


 あんな音が鳴ったってことは結構凄いスピードだったはず。結界にぶつかって怪我とかしなかったかしら?

 警備のためとはいえ結界が張られていたから起きた事故だし、お詫びにお菓子を渡して、それを恐る恐る食べて満面の笑みを浮かべる子供と仲良くなって――。


 子供好きなアラファが一瞬で思い浮かべた妄想は。


「何言ってるの、アラファ? 当然でしょ」


 ロチュの返答で打ち砕かれる。




「そんなに怖かったかしら、私?」

「違う。そうじゃない。今の子供が逃げていった理由は――」


 ロチュは当然といった様子でそれを述べる。




「スリに失敗して捕まるわけにはいかないから逃げただけ」

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