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42話 お菓子なパートナー


「舞踏会のパートナー……でもそれってスカフ王子は参加しないはずじゃ……」

「スケジュール変更で三日目の昼になって不参加の理由が無くなったわけだ」

「あー……そういえばさっきそんな話だったわね……」


 アラファの疑問にマギニスが背後から耳打ちする。


 夜に子供になる呪いから夜は姿を見せないスカフ王子。それを理由に舞踏会を断っていたとしたら、昼なら参加出来るはずだよな? となってしまったと。

 つまり異性のパートナーと一緒に踊らないといけないわけで……。


「誰と一緒に参加するつもりなんや?」

「そうですよ、誰なんですか!?」


 ニヤニヤとしたゲンツと一緒にスカフ王子に問いかけるアラファ。その表情には純粋な興味しか無い。




 スカフ王子は顔を顰めて天を仰いだかと思うとそのままうなだれて、顔を上げたかと思うと左右に首を振る。目に見えて分かるほどに苦悶していた。

 そしてどうにか絞り出すように声を出す。


「……そもそも僕が参加すると決まった訳では無くて……」

「何言っとるんや。参加しなかったら大顰蹙やで」


「……そもそも昨夜聞いたのにそんなすぐパートナーを用意出来るはずが無くて」

「だからさっさと選ばないと☆」


「……そもそもどうしてスケジュール変更なんて起きたんだ。グズモ党の方では何か知らないのか?」

「それなら狸ジジイの仕業やな。本当発表されるまでワイらに察知させないほどに巧妙だったみたいでな。本気で仕掛けてきてるみたいやで」


「ソップ大統領……野心のある人だ。そこまで僕が邪魔だったか」


 スカフ王子は顔をキリッとさせてシリアスに呟いてみせるが。




「そんなこと言って誤魔化そうとしてもだーめ。パートナーどうするの?」


 それくらいで逃すサミーでは無かった。




「…………」


 アラファは黙ったまま考える。


 スカフ王子のパートナー。そのルックスから女性人気も高くてファンとかもいるけど浮いた話は聞いたこと無いのよね。

 まあそれも呪いのせいだと思うけど。ノーナとこの前話したとおり呪いがある限り女性と付き合うの大変だし。

 でも話を聞く感じ舞踏会に出てパートナーとダンスを踊らないといけないみたいだし……どうするのかしら?




「困ってるなら助けたろうか? 急な話で準備も出来ないまま共和国に来て勝手も知らんやろうし。ワイらの方でパートナーを務められる女性を探しておこうか?」

「それは……」


「なに、スカフの人気は共和国でも高いからな。簡単に集まると思うで。むしろ選ぶ方が大変や」

「…………いや、いい。ゲンツたちの手を患わせるのも良くないし、そもそもパートナーになった女性もその後共和国でどのように見られることか。

 面倒はかけさせない。こっちで内々で済ます」

「内々で済ますってどうするんや?」


 ゲンツの提案を断ったスカフ王子は隣のアラファの方を向く。

 アラファもスカフ王子どうするつもりかしら、と見ていたため正面から向かい合う形だ。


「……」

「……」


 正面からスカフの表情。おふざけなしの真剣な表情。


 何、この雰囲気。まさか……。


 ようやくアラファが状況に気付いたところで、スカフ王子はアラファの手を取り。




「アラファ。僕のパートナーになって一緒に舞踏会に出てダンスを踊って欲しい」




 誘いの文句を口にする。


「わ、私ですか!?」


 1ミリも自分がパートナーになるなんて考えていなかったアラファは当然驚く。

 スカフ王子が私をパートナーに!? まさかそんなことが!? ……いやでも仕方ない事情があって。だとしても使節団に他にも女性がいる中、私を選んだ理由は――。






「僕の事情を知る君がちょうどいいんだ」


 そう、呪いのことを知っているからだ。


「…………」


 スカフ王子は世界平和と称して各国と関係を築くことで自分に呪いをかけた『妄執の魔女』ゼラフを追い詰めて殺して、呪いから解放されるという目的がある。

 そのためにこんなところで評判を落とすわけには行かない。そのために舞踏会も卒なくこなす必要がある。

 私がパートナーに選ばれた理由はちょうど説明を省けて都合が良いからで恋愛的な意味合いは一切無い。


 スカフ王子の力になりたいと思っていた。だから協力するのは構わないけど……それでも言いたいことはあった。




「『僕らの問題』だったんじゃなかったんですか?」

「……すまない。アラファ、君も僕らの一人だ」

「はぁ……分かりました。だったらパートナーを引き受けます」




 アラファはスカフの手を握り返した。


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