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38話 各国前夜


 大陸全土会議の前夜。

 ハルカネン王国で参加者であるスカフ王子が唐突に告げられた舞踏会のスケジュール変更への対処法を考えていたのと同じ頃。


 大陸各地でも明日からの会議に備えて動きがあった。






 開催地、大陸東のスート共和国。


 ぶくぶく太ったおじさん、ソップ大統領の自室。


「共和国の盟主には辿り着いた。次なる目的は大陸全土の盟主だ」


 神国は無関心、連邦は弱小、帝国が送ってくるのは軍人。

 会議で目障りとなるのは王国のみ。


「『真昼の王子様』……弱点を自ら晒してくれるとはありがたい」


 ソップ大統領はほくそ笑んだ。






 同じ共和国内。

 最大野党、グズモ党の党首。ノリの軽い男ゲンツ。

 その秘書にして右腕、ノリの軽い女サミー。


「あの狸じじいめ。めんどいこと仕掛けおって」

「スカフちゃん大丈夫かなー? あの子女の子苦手なんだよね?」

「そうやな……でもしょうがないんや。あいつは本当は男の方が好きなんだから…………はっ!? まさかワイ狙い!?」

「はいはい冗談は顔だけにしといて」

「誰が全身冗談人間やって!?」

「言ってないし、まじだるーい」


 ふざけあっているようだが、その会話は二人にとって呼吸のようなもの。

 現に話しながらも明日からの会議に向けた準備や、舞踏会の事態についての情報収集の手は止まっていない。


「真面目に考えて……こっちでスカフのパートナーを張れる人材を探しといた方がいいんやろか? あっちはもう出発目前でてんやわんややろ?」

「うーんそれはあーしも考えたけど……たぶん大丈夫っぽい」

「ん? 何でや?」

「最近王国とのやりとりをしている中に一人の女性の名前がよく出て来てる。たぶんスカフちゃん彼女に惚れてる」

「根拠は?」

「あーしの勘」

「おまえの勘かあ。微妙なところやなあ」

「何でよ。あーしの勘は当たるし」

「はあ、あの堅物に女がねえ。想像しにくいけど……実際いたとしたら」

「いたとしたら?」

「まじ爆笑もんやな」

「それはそう、マジウケるよね」


 開催国のため移動の必要の無い二人はそのまま中身の無い会話を垂れ流しながら夜を徹して作業を詰めていく。






 

 大陸南、ポーディニア帝国。


 筋骨隆々な女性、オグネー将軍の自室にて。


「明日から大陸全土会議か」


 オグネーは特に思うところは無かった。


 軍人として上からの命令を遂行するのみ。


 自身の領域は戦闘。故に今回の会議で出る幕があるとは思わなかった。


 ただ帝国の顔として向かうだけで、面倒なことは全て事務官に投げる。


 そのつもりでいたのだが。


「将軍、皇帝より緊急で言伝が」

「言ってみろ」


 部屋に入ってきた部下。軍人たるものいつも平静であるべし……だが妙にそわついている。

 だが内容を考えれば仕方なし。帝国のトップ、皇帝から直々に指令を承ったのだとしたら。

 それにしてもこんな夜に何だ……?


「それが……『明日からの大陸全土会議、余も共和国の地に赴く』とのことで」

「何だと……!?」


 一国のトップ。軽々しく動けないはずの皇帝が動く。






 大陸西、ザフト連邦。

 リンゴ村村長、デニサの自室にて。


「明日からの会議……連邦を代表していくのは緊張するなあ……」

「全く慣れてもらわんと困るぞ」

「分かってるって」


 緊張している菓子職人ブロスに対してデニサは発破をかける。


「それに悪いことばかりでは無いぞ。久しぶりにスカフ王子やアラファとも会えるしな」

「ハルカネン王国か……このスケジュール変更を見る限り何か厄介なことに巻き込まれてるみたいだ」

「ならば今度は妾たちの番じゃ。精霊祭では助けてもらった分、助けるんじゃ!」

「そうだね、力になれるように頑張ろう」


 ザフト連邦からスート共和国は大陸の端から端で移動にも時間がかかる。そのまま二人は一緒に早めに寝ることにした。






 大陸北、プーナ神国。


 麗しい女性、カプラ神官はその自室にて。


「おお、シエモス神よ。主の御心が少しでも多くの人に広まるように頑張ります」


 毎日の日課、夜の祈りを捧げる。






 そして。

 大陸某所。

 会議、非参加者。『妄執の魔女』ゼラフ。


「スカフが共和国に……しかも王国を代表して会議に参加なんて本当頑張ってるわねえ」


「本当は舞踏会にパートナーとして一緒に出て踊りたいところだけど……夜だからスカフは参加出来ないのよね。残念だわ」


「せっかく王国から出てくれるんだから会いに行きたいけど……」


「共和国ねえ。あの国はちょっと……嫌な思い出が……」


「警備も厳重で厄介な連中も来るみたいだし……」


「でも絶対にスカフのかっこいい姿は見たいわ……!」


「だから、そうねえ…………ちょっと変装していこうかしら」


 ゼラフ、共和国襲来の意志を固める。








 ――そして思惑の錯綜する夜が明けた。


 ハルカネン王国、王城前広場。

 そこには多くの馬車が集まっていた。

 四泊五日の今回の旅。使節団の人数も多く、それに伴って大規模となっている。


「すごい数ですね……」


 見たこと無い数の馬車に圧倒されるノーナ。


「天候良し。絶好の出発日和ね!」


 快晴の空を仰ぐアラファだった。


更新遅くなりました。


新キャラいっぱい顔見せで次回より共和国編開始です。


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