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33話 お菓子な会議


 ある日の外交特務室。


「あ、スカフ王子。今日も来たんですね、ちょうどカステラ作ったんですけど」


 護衛のマギニスを連れてやってきたスカフ王子に対して、アラファがお菓子を勧めるが。


「ありがとう、だけどそれは後でいただくよ」

「……王子がお菓子を断った!?」

「すごい驚かれ方だね。でも真面目にするときは真面目にしないといけないからね」


 肩をすくめるスカフ王子……それにしても真面目って……。


「外交特務室に仕事だ。ステンス殿、ミガヘ殿。まずは話を聞いてもらう」


 マギニスに促されてテーブルを囲んで四人座ったところで、次の外交の話が始まった。






「大陸全土会議?」

「ああ。東のスート共和国の発案でね。北のプーナ神国、西のザフト連邦、中央のハルカネン王国、南のポーディニア帝国。大陸の五カ国の代表が集まって色々と話し合う、という趣旨らしい」


「その会議にスカフ王子が参加するんですか?」

「父、アンフィロ国王は体調が良くなくて長旅はきつくてね。そうでなくても一国のトップがそう簡単に余所に行けるものじゃ無い。開催地の共和国以外は僕みたいに全権委任された大使を寄越すんじゃ無いかな」


 各国の代表が集まって話す。……日本で言うと何たらサミットとかいう感じかしら。この前のザフト連邦の精霊祭に呼ばれたときと違って固い感じのイベントだけど……。




「ノーナたち外交特務室に仕事って……まさか」

「使節団の一員として帯同してもらう。今回はステンス殿、ミガヘ殿、二人ともだ」


 ザフト連邦のときはアラファ一人だったし王子のおまけという立ち位置だった。今回は正式に使節団の一員という立場だ。


「そんな私たちが会議に参加しても特に発言とか出来ませんよ」

「もちろんそんなことアラファたちには求めていない。アラファたちに頼むのは会議より前のお茶会のことだ」

「お茶会? それは楽しそうね」

「楽しいものか。各国の代表だったりと一対一で会って会議の前に根回しをしたり隠した思惑の探り合いだ。まあもちろんそこでも僕が基本喋るけど……そこにおいしいお菓子があったら相手の口が緩んだり、交渉もしやすくなったりするだろう?」

「それは責任重大ね……」


 菓子折りみたいなものね。真面目な場においてもお菓子は力を持つ。気合いを入れていかないと。




「会議の日程は? それとお茶会の予定は決まってるんですか?」

「会議は2週間後に出発、数日の予定。お茶会はまだ詳しくは何とも。各所と調整中だ」

「ただまあ基本的には各国の代表が相手だ。4国、それぞれの相手に合ったお菓子を作ってもらうつもりだ」

「アップルパイの地獄の作業みたいなのが無いのは助かるけど……それでも準備は大変ね。各国代表が好むお菓子か……」


 アラファは何を作るか考えると同時に、今回の行き先共和国について考えていた。

 スート共和国にも欲しかったお菓子の材料があるって聞いたことあるのよね。どうにかして手に入れる機会があるといいのだけど……。




「そういえばなんですけど、今回の会議って何のために開かれるんですか?」


 ノーナが手を挙げて根本的なところを聞く。


 何たらサミットでは温室効果ガスの削減に各国同意したみたいな感じで開かれる理由はあるものよね。

 今回の共和国サミットの目的は――。




「良いことを聞いてくれたね。どうやら『各国が協力して大陸のこれからの未来を考える』……だそうだよ。

 いやはや何とも素晴らしくて感動で涙が出てくるねえ」

「へえいいことじゃない……なのにどうして王子はそんなに胡散臭いのかしら?」

「本心ならそうだな。さて各国本音はどこにあるものか……せめて何事もなく終わればいいが」


 目が笑っていないスカフ、能天気に賛同するアラファ、今から会議を憂うマギニスだった

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