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29話 後輩な路地


 王都の薄暗い路地にて柄の悪い男三人組に見つかったノーナ。




「………………」


 ノーナは自分が注目されていることに気付きながらも無視して歩を進めようとするが。


「なあ無視って酷くない? お姉さん」


 男の内一人がノーナの前に通せん坊するように立ち塞がり。


「俺たちとちょっと遊ぼうぜ」


 後ろからさらに一人がノーナの腕を掴んだ。




「っ……! 離してください!」


 見知らぬ男に腕を捕まれる。生理的嫌悪と防衛反応からノーナは反射的に『怪力』魔法を発動。


「うわぁぁぁぁっ……!?」

 捕まれた腕を振り上げると男が人一人分の重さなどまるで無いかのように3メートルほど飛び上がった。男は手足をじたばたさせるものの急なことに受け身も取れずに地面に叩きつけられる。


「ば、化け物かよ!?」


 正面に立った男がたじろぐ。




「ご、ごめんなさい! でもノーナ急いでいるので!」


 害意を持った相手が悪いのだが、それでも謝るのがノーナの気質であった。そして言い訳をしながらいち早くその場を離れたいという思いから無我夢中で正面の男に突っ込んで。


「く、来るな!! ぐはっ……!!」


 ノーナとぶつかった男はまるで自動車にはねられたかのように宙を舞った。


「ごめんなさい、ごめんなさい!!」


 重ねて謝りながらも男たちの包囲網を抜けた――かのように思えた。




「ちっ、待ちやがれクソが!」

「ひゃっ……!?」


 三人組最後の男、離れて見守っていたそいつがノーナに向かって手をかざしながら吠える。するとノーナの身体が宙に浮いた。

 『念動』魔法、力場による見えない手でノーナの身体を掴んだのである。




「まさか魔法を使えるとはな。見たところ『怪力』ってところか? 女の癖に男みたいな魔法使いやがって!」

「いたっ……!」


 掴む力が強くなり宙に浮いたまま悲鳴を上げるノーナ。『怪力』魔法全開で暴れるが実体の無い手に干渉することは出来ない。




 女の癖に……確かにそうかもしれない。男に生まれればノーナも苦労しなかったのかな。

 活動的なことが好きで、『怪力』魔法を行かせる職業に就くことをみんなに望まれて、こんな男たちにも怖がる必要が無くて。

 どうしてノーナは女なんかに産まれたんだろう?


「ちっ、手間かけさせやがって。おまえは――」

「たす……けて……」


 届かない助けの声を上げるしか無い女なんかにどうして――。






「へぶっ!?」


 そのとき、突然男の身体が横に弾かれて壁に激突した。


「えっ……うわぁぁぁぁっ!?」


 その衝撃により『念動』魔法が解除。宙に浮いていたノーナにかかる力が無くなり落下する中……一陣の風が吹きその落下速度が和らぐ。


「全くあんな輩がこの王都にまだいるとは。大丈夫ですかお嬢さん?」


 その落下地点で王都の治安を嘆きながらノーナの身を受け止めたのは。




「ありがとうございます……って、あなたはスカフ王子の護衛の……」

「……外交特務室のノーナ・ミガヘ殿だったか。どうしてこんなところに?」




 スカフ王子の護衛、マギニスだった。


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