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28話 後輩な過去


 王都の端に位置する魔導具工務店。

 王都の中で一番栄えているのは中央にある王城付近のエリアだ。端ということで立地が悪いが、腕は確かでスカフ王子も御用達にしている。

 ノーナはそこを訪れていた。




「うーん……聞いてた話と違うが……」

「大丈夫だよ。この前王城を訪れたときに私が見ている。嬢ちゃんが依頼先のところにいるのは間違いない」

「……そうか。なら頼んだよ」


 店先で店長夫婦が少々やりとりした後にノーナに依頼されてた部品を手渡す。


「ありがとうございます!」


 ノーナは大きく頭を下げてそれを受け取った。




 これでミッションコンプリート、後は帰るだけですね。


「ふん、ふ、ふーん」


 鼻歌を歌いながら来た道を戻っていくノーナはその途中で公園の近くを通りかかる。




「おりゃっ!!」

「いたっ……!! やったなぁ!!」

「逃げろーー!!」


 子供たちがボールを使って遊んでいるようで楽しそうな声が道路まで響いている。


「懐かしいなあ……」


 その光景を見てノーナは昔のことを思い出す。






 母親が言うにノーナは赤ちゃんの頃から活発的で子育てに手を焼いていたらしいです。

 物心付いてからも女の子が好むままごとなんかにはハマれなくて、男の子と一緒に外で遊ぶ方が好きでした。

 成長して思春期になりノーナの身に発現した『怪力』魔法。女らしくないとよく言われましたが私は自分の魔法が好きでした。

 それを活かして将来は力仕事とか身体を動かす職業がいいんじゃないかと思っていたその矢先。


『冗談はよしなさいって、そんなの危ないでしょう』

『そうだそうだ、普通にもっと女の子らしく家庭的な未来をなあ』


 世間話に紛れて、冗談っぽく、何気なく明かした心の内に返ってきた両親の言葉がぐっさりと刺さりました。


 別に悪い両親じゃありません。ノーナを不自由なく育ててくれて感謝しかありません。別に意地悪で言ったのではなく、本気で話せば認めてくれたでしょう。


『……あはは、そうだね』


 でも意志の弱いノーナはぽっきりと折れて流されてしまいました。




 それからノーナは『怪力』魔法を隠して、女性らしさ、家庭的を求めて生きていくのですが、どうしても不器用なノーナには中々合わず職を転々として――その先でアラファ先輩と出会いました。


『その魔法凄いじゃない!』


 作業で隠れて『怪力』魔法を使っていたところ、見つかってかけられたその言葉。


『出来るわよ。お菓子作りの道は誰にだって開かれているわ。それに出来るまで私が教えるわよ』


 そしてこんな私でもお菓子作りが出来る、女性らしくなれると言ってくれたアラファ先輩に心が救われたのです。






「アラファ先輩のためならノーナ何でも頑張れるかもしれません……っと、この道は……」


 考えながら歩いていると子供たちがはしゃいでいた公園のあった辺りとは雰囲気が一変して、薄暗い路地にさしかかりました。

 王城に向かうにはこの道を通るのが近く、もし迂回するならかなりの遠回りを必要とします。




「行きは大丈夫だったし……帰りも大丈夫だよね……」


 さっき一度通ったときは誰ともすれ違わず特に何も起きませんでした。今回も何も起こらないはず……。


 おそるおそる踏み出していきます。びくびくと目だけで周囲を窺いながら、しかし早く通り去れるように早歩きで。


 そして路地の中頃まで進んだところで。




「ぎゃははは!! マジウケる」

「ん、あれは?」

「へえ、ちょうどいいじゃん」


 道ばたでたむろしていた柄の悪そうな男性三人組に見つかったのです。


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