26話 お菓子な日常
投稿再開。
またよろしくお願いします。
精霊祭から一週間経ったその日の夜。
「これがパイナップルゼリーか!」
「気に入りましたか?」
王城、外交特務室にはアラファ・ステンスと呪いによって子供となったスカフ王子がいた。
王子に外交特務長に任命されてからというものの、アップルパイを開発して、量産して、ザフト連邦に行って精霊祭で……あんなことがあって。
バタバタな日々だったけどこの一週間は平穏に過ごせているわね。
王子からも『しばらくはお菓子でも作ってのんびりしてくれ』と言われている。アラファはザフト連邦からあの後送られた色んな果物を使った新作お菓子を作っていた。
今日も夕方になって特務室のメンバ-、後輩のノーナが帰ってからもアラファが一人でお菓子作りをしていたところ、夜になって子供になったスカフ王子が訪れたのでお菓子を一緒に食べていた。
「そういえばアラファ。マギニスに僕が子供状態のまま出歩いていることを言っただろう?」
「……? あーえっとザフト連邦のホテルでそんな話をしたような」
「あの後怒られて大変だったんだよ。その姿のまま出歩くな、って」
「秘密だったんですか? あまりに堂々としてたから普通に許可されてるものかと。……でも今日みたいに出歩いてるって事は許されたんですか?」
「ああ。頼み倒したら『秘密で動かれたりストレス溜めて爆発しても面倒だ』ってことで、ここに来ることは許可されたんだ」
「それは良かったです、王子と一緒にお菓子食べるの楽しいですし」
「僕も良かったよ、アラファの作るお菓子好きだしね」
スカフ王子(子供状態)はアラファがこの世界で初めて自分が作ったお菓子を振る舞った相手だ。外交特務室を立ち上げてくれた恩もあるし、単に喜んで食べてる様を見るのも嬉しい。
「ほらドーナツもどうぞ」
「うん、食べ慣れた物もいいな」
パイナップルゼリーを食べ終えた王子に今度はドーナツを与えるアラファ。
「…………」
美味しそうな頬張る姿は先に述べたようにアラファに正の感情をもたらすが。
『ゼラフを捕らえて――殺す』
王子を見てどうしても頭をちらついてしまうのが、溢れんばかりの負の感情がこもった宣言。
あの日以来王子のあんな一面も見てないし、こうして満面の笑みでお菓子を食べている姿を見ていると私が幻覚でも見ていたんじゃ無いかって思うけど……そんなはず無いわね。あれは現実よ。
「難しい顔してどうしたのお姉ちゃん……じゃなかったアラファ」
「おやおやー? いいんですよー、アラファお姉ちゃんって呼んでも」
「うるさい、うるさい、うるさい! ついこの姿に引っ張られただけだ!」
王子は呪いに苦しんでいる。子供状態の王子と過ごす時間はいつもより表情豊かで楽しいけど……だからってそれが永遠に続いて良いわけが無い。
王子の止まった時間。それを動かす手伝いが出来れば良いとは思うけど……。
つまりあのおばあさん……ゼラフを殺すってこと? そんなことを手伝える? そもそも呪いって何? ゼラフはどうして、どうやってかけたの? 殺すしか解除する方法は無いの?
「うーん…………………………………………ドーナツおいしい」
もふもふとドーナツをかじるアラファ。
精霊祭以来ふとしたときに同じように思い浮かんでは、しばらくもやもや悩んでパンクしてとりあえずすぐに結論を出す必要も無いかと先送りにしていた。
「ごちそうさま!」
「ああもうそんな勢いよくドーナツを食べちゃって。次のお菓子は……」
「いや、もういいよ。夜だしお腹いっぱいだし」
「えー色々あるのに」
「……というかその子供にいくらでもお菓子食べさせようとするの、すっかり年配の仕草だからね?」
「誰がおばあちゃんですか!?」
アラファは激怒した。
新展開始まりました、しばらく平穏な日々です。




