秋雨
日暮れの後 夜の手前の頃
降り出した雨である
暗い青い空に
屋根の重なり
さしたるものもないのに
むやみに幅の広い路地
信号は赤青黄
薬局の白
ラーメン屋の橙
点々灯る電灯の光色水
ぶちまけられた黒い地面の
踏みしだく音もなく
ただ打ち落ちる雨粒の断末魔
奥を覗けば
暗い青い空に
屋根の重なり
境目の曖昧な
何だかわからぬ建造物の
黒い重なりの間を縫って
道は
道ばかりにぎやかに
暗い路地へ消えていく
空の境も消え失せた
奥へ行くほど狭くなる
さしたるものもない路地の
道は
道ばかりにぎやかに
奥へ奥へと続いてく