8話“約束③”
最後の1人は愛の胸ぐらを掴んでいた。
“許さない”
そう思った時だ。
バケツを持っていた女子が
愛にいつでも水を
かけれるよう構えたのだ。
これは流石にやばいと思ってすぐに、
上履きから外履にはきかえるために、
下駄箱に行こうとしたら、
『キーン コーン カーン コーン、
キーン コーン カーン コーン』
と休み時間の終わりのチャイムが鳴った。
これで終わるのかと思い、
ホッとした次の瞬間、
バケツを構えていた女子が、
愛に向かって水をかけたのだ。
「えっ?」
驚いて声が出てしまった。
水をかけたあと女子3人は、
スマホを地面に叩きつけ、
校舎に戻っていった。
しかし、
愛は一向に戻らないようだったので、
俺は急いで愛のところに行った。
「愛!」
「さっきのはどういうことなんだよ!」
「なぁ!」
「なんで反撃しなかった!」
「なんで!」
「..............。」
「どうして!」
「..............。」
「なぁ!なんか返事しろよ!」
【うるさい!】
「えっ?」
「お兄ちゃんには関係ないでしょ!」
そう言い放ち、愛はどっかに走って行った。
「おい!」
‘パキ’
「ん?」
何か踏んだと思い、みたら
愛のスマホだった。
画面はバキバキに割れていて、
電源がつかなかったのだ。
じゃあさっきあの女子が持っていた
スマホは愛のだったのか。
そのあと授業に遅れて参加した件で
こっぴどく先生に叱られた.......。
その日の夜、
愛は夕飯を食べずずっと部屋に閉じこもっていた。
その間俺は母さんに
今日休み時間に起きたことを全て話した。
母さんは
「ありがと梁。」
と言って続けてこう言った。
「愛はね、女の子だから弱いの。
だから何があっても愛を守るのよ。
たとえ母さんが死んでも。
これは、梁と母さんの絶対のお約束ね。」
「うん、わかった。
母さんとの約束は絶対守る。」
そうやって約束したのだ.........