真夏とラジオ⑤(ゾンビとぬいぐるみ)
大きな通りの公園。十二月のテレビ塔。
ライトアップされ夜の空気を灯す。
展望フロアから眺める街が、きらめくイルミネーションに彩られた冬の季節。
冷たい空気の風。白い息。
キミにプレゼントしたうさぎのぬいぐるみ。
ぬいぐるみを抱っこしたキミに、ぐるりとワタシのマフラーをまく。
手をつないだ手袋の手と手。
忘れられない・・・
そして、あの真夏の深夜。ゾンビ化テロが発生した。
テレビ塔の灯りは消えている。
奇妙なゾンビを見かけた。
ぬいぐるみを抱っこしていたゾンビ。
自分のぬいぐるみだろうか。自分の子供と思っているのだろうか。それとも、持ち主を捜しているのだろうか。
そんな珍しいゾンビだったから印象に残っている。
あれは、去年の冬の日。
キミと歩いた冬。
手をつないだ手袋の手と手。
忘れられない・・・
今も。うさぎのぬいぐるみを抱っこしたゾンビは、この街を歩いている。