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12.メイプルの家族

 メイプルが小生のことを紹介すると、サイレンスアローとブラウンスポットは、羨ましそうに姉と小生を眺めていた。

「主戦騎手かぁ……いいなぁメイプルさんは……」

「ウマに乗ってくれるビーストテイマーさんって、とても希少な存在だもんね。僕たちもついででいいから乗り手になってよ」

 本当は三顧の礼で迎え入れたい2頭だが、ここは少しだけ突き放すことにした。


「小生に乗って欲しければ、毎日しっかりと食事をして運動して眠らないとダメだぞ。姉さんのような一角獣になりたければ、まずは健康な体から作らないといけない」

 そう言うと、2頭は「はい!」と返事をした。


 そんな小生たちを遠目から見ていた乗り手たちは、モノ好きがいたと言わんばかりの雰囲気で眺めていた。

 確かに【相馬眼】がなければ、そう見えるのも仕方ないかもしれない。


 サイレンスアローの見た目は姉と同じ栗毛だが、身体はとても小さい。

 更によく見ると、まつ毛がメスよりも長く、脚は4本とも膝から下が真っ白という、馬愛好家の中で見知らぬ誰かにくれてやれと言われる姿をしている。

 普通の乗り手には、血統が少し変わっているだけの縁起の悪いチビユニコーンにしか見えないだろう。


 ブラウンスポットは、鹿毛(かげ)と呼ばれる茶色の毛並みに、白い模様が牛のようについている。

 彼の場合、血統の悪さが角から解ってしまうのが問題だ。良血だとメイプルのように鮮やかな光を放つ角を持つが、ブラウンの角は光らなくてもにごっているのがわかる。

 そのため、サイレンスアローには時々だが視線を向けてくる乗り手もいるけれど、ブラウンスポットは見向きもされていない。


 サイレンスアローは言った。

「久しぶりに戻ったのだし、お父さんやお母さんに会って行きなよ」

「そうですね。アルフレッド様……少し挨拶をしてきます」

 それがいいと感じた。ついでに小生も彼女の両親に挨拶でもして行こう。

「せっかくだから、小生も行こう」



 メイプルの両親は、大森林の泉の側に住んでいた。

 母親の側には、生後1ヶ月ほどの仔ユニコーンの姿もあり、父親も子煩悩な雰囲気のある一角獣だ。


【ドドドドドドドドド ユニコーン牡11歳 レア度SR+ 総合霊力105 飛行◎ 変身✕ 治療○ 調薬✕ 除霊○ 特殊能力:風神の加護】

【フォレストドリーム ユニコーン牝9歳 レア度SR 総合霊力85 飛行✕ 変身○ 治療△ 調薬✕ 除霊○ 特殊能力:ミラクルホース】

【スピカオブアムアス ユニコーン牡当歳 レア度C− 総合霊力1 飛行✕ 変身✕ 治療✕ 調薬✕ 除霊✕ 特殊能力:不明】


 【相馬眼】よ。こんなところでまで仕事をしなくてもいい。というか、メイプルとサイレンスの弟君よ。君の凄まじさがヒシヒシと伝わってくるぞ。

 

「おお、メイプルセイバー!」

「今戻りました」

 メイプルセイバーが駆け寄ると、両親は笑顔で迎え入れていた。先ほどの弟とのやり取りを見ても、本当に仲の良い家族だと思う。

 一番小さな弟君も、姉を嬉しそうに眺めた後で小生に関心を向けてきた。

「ねえ、このお兄さんはだれ?」

「このお方は、ビーストテイマーのアルフレッド様です。私が旅先で病気に苦しんでいたときに、お世話になりました」


 父親のドドドドドドドドドはすぐに小生を見た。

「娘が世話になった。ん……?」

「どうかしましたか?」

「つかぬことを伺うが、ラムダー門下の方では?」

 ラムダーは、小生の師匠の名だ。

「ええ、不肖の弟子と名高い……アルフレッドです」

 そう名乗ると、メイプルの一番下の弟はクビをひねった。

「ふしょう? ケガでもしたの??」

「一番出来が悪い……と、自分から言って師匠や兄弟子の顔を立てているんだよ」

 そう解説したのは、上の弟サイレンスアローだった。


 父親ドドドは、サイレンスアローを無視して小生を懐かしそうに眺めた。

「そうだったのか……すでにあの方は亡くなってしまったが、お弟子さんに会えるとは嬉しいものだ」

「ラムダーさんに指導して頂けたからこそ、魔竜のほこらの霊たちを封じることができましたからね」


 ドドドは頷いた。

「ああ、あれは……厳しいレースだった」

「とにかく、しばらくゆっくりして行ってください」

 今夜くらいは、ゆっくりと羽根を伸ばせるかと思いきや、瘴気を帯びた風を感じた。

 ここでも、不穏な何かが動き出そうとしているようだ。

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