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ジュースの空き缶

作者: ミミ
掲載日:2022/10/04

日曜日って心が晴れやかになるからサンデイっていうんだよなぁとホームルームの壁にかけてあるカレンダーをみて思った。

つい一時間前まで、ガヤ音に溢れかえっていた、

いまは自分一人しかいない、金曜日の放課後の教室。やる気を失った主人に開かれたまま机の上に突っ伏してある英語の参考書をみたあと、縋りたい気持ちで時計を見た。

あともうすこしで5時だ。別に帰ったっていいよね。

半分やけくそな気持ちで参考書をしまい、重い体を意地でうごかして、学校をあとにした。

コンビニから数メートル離れた道で、学校から数分歩いたところにリンゴジュースの空き缶が落ちていた。

カラコロカラコロ、風吹かれて回っている。

目の前を歩いていた同級生がその空き缶を拾って近くのコンビニに捨てた。

自分だったらしない。


同級生は、部活のキャプテンをやってた。

部員に信頼されているキャプテンだった。

同じ部活に入っていたけど、あまり話さなかった。


同級生は、自分で結果を取りに行くタイプ。

入部してすぐから、自分の意見を話していた。

部長やキャプテンが出した目標に全力で向かう。

その為の努力を惜しんでいなかったと、当時を振り返る。

自分は、そこまでやらなかった。

たかが部活で、頑張ること自体、面倒と感じてた。

同級生はそのうち1年なのに特例でリーダーになってた。


学力も良かった。

学年順位1桁。自分は取れない。取れる訳ない。

リーダーもやる。勉強もやる。

羨ましい。

自分もそのようになりたい。

でもやるのは面倒。諦める。


同じ学年のはずなのに立場がかなり変わった。


まぁ仕方ないか、と諦める自分。


部活を引退してある日、急に声を掛けてきた。

びっくりした。部活以外に接点は無かったから。


後輩達にお世話になったから感謝を伝えたい、と言ってきた。


終わった後ですら他人を考える余裕があるのか、と思う。


まぁ、最後ぐらいと思い、分かった、と返す。


そして、その同級生を中心に準備をした。

ある日、目の下にクマをつけて登校してきた。

理由を聞けば、準備に徹夜したそう。

夜中の2時に寝たらしい。

何故そこまで、と思わずにはいられなかった。


「しっかり準備しないと何も出来ない。」

0から1は大変だけど0.1を1にするのは簡単だ。

そんな、当たり前の事に気付かされた一言。


「他人のためじゃない。自分のためにやってる。」


行動を起こすか起こさないかの違い?

そんなもの、気づいて入ればとっくにやっていた。



絵描きを頼まれた。

寄せ書きした色紙の半分ページが空いたらしい。

絵を描くことは趣味だった。引き受けた。

同級生が頑張ってるなら、変な使命感が働いた。

いつも以上に頑張った。寝る時間まで削った。

絵を見せると皆が凄い、と褒めてくれた。


嬉しい。頑張って良かった。


「頑張り」が「嬉しさ」になって返ってきた。


達成感。むずがゆい、なんとも言えない想い。


もっと、頑張る。達成感を期待して。


それ以来、試験勉強以外にも、絵描きにより一層取り組むようになった。

卒業に関して作成するクラスの寄せ書きの真ん中に絵を描く人に、彼が自分を推薦してくれた。

「こいつ、めっちゃ絵うまいんすよ」

そのひとことで、僕がクラスの思い出に一つ関わることが出来た。



自分がとある大きな試験を突破して、暖かい風が吹いた日に、空き缶が転がっていた。

カラコロカラコロ、風に吹かれて。

コンビニのゴミ箱に、捨ててきた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 同級生が主人公を変えたのですね。 心の底からこのひとはすごいなぁと思うひと、いますよね。 いわゆる「薫陶を受ける」というものなのかも知れませんが、そのひとの周りにいるだけで、自分も頑張ろうと…
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