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2021年、外出自粛のGWが暇だったので書いてみた、小説です。
処女作であり、色々と突っ込みどころはあるかと思います。
短いですがお付き合いいただければ幸いです。
冒険者、特定の目的や名誉・利益を得るためにチャレンジする者たち。
時にモンスターを討伐し、時にダンジョンに挑む者たち。
ある者は、筋骨隆々な体躯で携えた大剣でモンスターを一刀両断
ある者は、煌めく双刀にて圧倒的な手数で敵を斬る
ある者は、大炎を生み出しモンスターの群れを殲滅する
ある者は、察知されない遠距離より一矢にて敵を穿つ
ある者は、神より授けられた神秘なる力にて全てを癒す
幼い日、貧民街の路上で見た彼らは非常に輝いて見え、かっこいい英雄に見えた。
そして幼い日の俺はある日、冒険者になるべく冒険者ギルドに向かった。
だが、現実は甘くなかった。
浮浪者として生きてきた幼い日の俺はぼろを身にまとってい、冒険者として登録する僅かな金も、モンスターを倒す武器も、何もなかった。
そもそもが冒険者ギルドに登録する年齢を満たしていなかった。
その場に居合わせた冒険者には笑われ、ただただ泣くのを堪えるしかなかった。
ただ、彼女は。彼女だけは違った。
彼女は冒険者ギルドに赴任したばかりの受付嬢だった。
幼い日の俺を慰めてくれた。
今思えば、その場にいた冒険者は少なく暇な時間だったからこそ、子供に泣かれると面倒だと先輩職員が彼女に指示したんだろう。
だが彼女は、一生懸命説明してくれた。
冒険者ギルドにはいくつになったら登録できるのか、登録にはいくら必要なのか、はじめはどんなことをするのか、どんなことを憶えていなければいけないかなど。
もしかしたら初めての対応だったから張り切っただけなのかもしれない。
彼女が一生懸命説明してくれた内容を、忘れないように何度も何度もその場で復唱し覚えようとした。
そんな様子の俺に先輩職員に呼ばれるまでいつまでも彼女は付き合ってくれた。
◇
それから時は流れ、冒険者になれる年齢になった時に改めて冒険者ギルドを訪ねた。
だが彼女はいなかった。
おぼろげな特徴をもとにほかのギルド職員に聞いたところ、彼女は優秀でほかのギルドに移動したらしい。
寂しかったが、あの日に聞くことのできなかった彼女の名前を聞けた。
ついでに年齢も聞いた。今年で17歳らしい。
あと、この街にいるときいろいろな冒険者から言い寄られていたと聞いた。
Cランクの冒険者からも言い寄られていたらしいが、すべて断っていたらしい。
最後に、「難しいと思うけど頑張って」と言われた。
理由はわからないが、ホッとした気持ちになった。
登録の門出にギルド職員に応援されたし、あの日一生懸命になってくれた彼女に胸を張れるようになったら、会いに行くことを決めて依頼に勤しむことにした。