ケバブって美味しいよね
「うま、うま、この串焼きのタレと肉の油が最高にマッチしてるね。おっちゃん、最高だよ」
「坊主、嬉しいこと言ってくれるじゃないか、よし、1本おまけだ」
「ありがと、おっちゃん」
俺は肉の串焼きをもう1本受け取ると、他の店を探して市場を歩いていく。
「あそこのケバブお美味しそうだな」
「おっちゃん、ケバブ一つ」
「あいよ、大銅貨3枚だよ」
俺はポケットからお金を出すふりをして、空間魔法・異空間から銀貨を1枚取り出した。
「はい、銀貨1枚」
「あいよ、じゃあ、お釣りの大銅貨7枚とうち自慢の特製ケバブね」
「お~、野菜がシャキシャキしてて、肉は油少なめのさっぱり系、それをちょっと辛めのソースで味付けしてあって、実に合う、旨い」
「旨いだろ、坊主」
「うん」
「そうか。そうか、じゃあ坊主良いこと教えてやろう、ここをずっと貧民街の方に真っすぐ行ったところに世界一美味しいケバブ店があるんだ。その店主は俺の師匠なんだが、本当にそのケバブは美味いんだ。ちょっと貧民街に近いが師匠は強いし優しいからな坊主一人でも余裕で行けるだろう」
なるほどね、世界一美味しいケバブ店か、それは、行くしかないな、俺は自分でいうのもあれだがかなり強いし、貧民街がどうとか恐れる必要などなし。さあ、美味しいケバブを食べに出発。
てくてくてくてく
大分進んだな。しかし、風景があの活気あふれた市場から寂れた場所になったな、ちょっと怖い。
まあ、スリルっぽいものはあって良いんだけど、しかし貧民街か、なんか、貧民街に用事があったような無かったような気がする?まあいっか。後で思い出すだろ。それよりもケバブだ。
「お、あった、あった、世界一美味しいケバブ店ってハタぶら下げている店、うん、凄い目立つようにハタぶら下がってんな、それだけ、ケバブに自信があるってことか」
「すいません、世界一美味しいケバブ下さい」
バキ
そう言った俺に帰って来たものは背後から木材を使った殴打だった。
まあ、俺頑丈過ぎるから木材が折れたけど。
「な、こん棒が折れただと」
木材じゃなくてこん棒でしたか、あんま変わらない気もするけど。
しかし、貧民街近くだけあって治安悪いな。
「この化け物め死ね~~~」
背後から襲ってきた男が懐からナイフを取り出して襲いかかって来るが、手に魔力を纏わせてナイフを掴みへし折る。へし折ったナイフを手に持ってそのまま相手の顔面に投げて殺した。
「ひ、ば、化け物」
そう言ってケバブ店の店主が逃げ出す。
「ちょっと待ってください、逃げないでくださいよ店主、俺に世界一美味しいケバブを食べさせてくださいよ」
俺は逃げた店主に追いつきそう頼んだら。
土下座されました。
「ひ、すみません、嘘何です、世界一美味しいケバブとか嘘なんです。そういう誘いで子供を攫って身代金を請求したり、奴隷にして売ったりする為の嘘です」
「え、じゃあ、あの美味しいケバブの店主もグルってこと」
「はい、そうです、色んな露店の店主に金を握らせてカモになりそうな子供をここに誘導するようにしているんです」
「まじか、衝撃の事実だな。そうか嘘だったのか。どうするか?よし殺そう、お前子供を攫って食い物にしているクズだろ、生きる価値なしだ」
「ちょっと、待ってください、命だけは」
「破壊魔法・頭部」
クチュ
「ハア、嫌な目にあったな。食欲も失せたし帰りますか。あれ、帰る?ん?何かを忘れているような、俺は何で外に出たんだっけ、えっと、えっと、あ、そうだ、思い出した。公爵家に呼ばれてたんだった。場所は確かスラム街の4番地の一番大きい建物だったよな、行くのか、でも少々めんどくさいな、でも行くか、行かないと後で面倒くさいことになりそうだし」
てくてくてくてく
めっちゃ治安悪そう、明らかに人の死体ですって感じの肉片が散らばってるし。
腐臭もするし、来たの失敗だったかもしれないな。
「うわ、本気で来たぞ、あの貴族の坊ちゃん」
いきなりナイフを持ったオッサンに話しかけられた。気持ち悪。いや、気持ち悪いじゃないな明らかに俺を殺そうとしているな。
「じゃ、怨みはないけど、あんたを殺s」
「破壊魔法・人体破壊・頭」
グチュ
「はい、終わり、いや~弱いね、いや、俺が強すぎるのか、さて用事も済んだし帰るか」
てくてくてくてく
家に帰る道中悲しいことにスラム街だけあって、何回か襲われたけど全員返り討ち(皆殺し)にしたけど。一応質疑応答に返り討ちにして大丈夫か質問したけどスラム街ではよくあることらしい。
そんなこんなで家に帰ってきました。
多少父親に生きていることを不審がられたけど、まあ、適当にごまかして何とかなった。
でもさ、普通自分の息子が死んでると思う父親って酷いな。まあ俺はコイツを父親と思ってはいないけど。
短くてすみません。