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悪魔付き事件

 ――――――――――


 ケイゴと暫く話していると、壇上に立派な髭を携えた白髪のご老人が上がってきた。


「ゴホン、静かにせい。小童どもここは天下の貴族院学校だぞ。まだ、7歳で遊びたい喋りたいというのも分からんでもないが、貴族たる者常に平民に対して見本となり、優れなさい。自分が貴族という誇りを持つのじゃ。分かったか。そもそも貴族というのは、神から領土を支配するスキル。領土支配のスキルを授けられたご先祖様が領土支配のスキルを使い国を作った。それが始まりじゃ。そして、領土支配のスキルはスキル所有者の血縁者にしか授けることが出来ない。だからこの国の貴族には必ず神からスキルを授けられた選ばれし者がいる、そう、我々貴族は選ばれているのじゃ、しかし、最近の貴族はそのことを忘れ平民如きと結婚するものや、平民のために汗水たらし働き過労で倒れる者。平民に反逆されて平民に殺される者、クズばかりだ。もちろん平民をないがしろにしてはならないが・・・・・・・・・


 話長いな、なんて思いながら、聞いていたら、いきなり隣にいた女子生徒が心臓のあたりを抑えながら苦しみだした。


「おい、苦しそうだが大丈夫か」

 小声で彼女にそう、問いかけたら。


「私から離れて」


「いや、いきなr」


 ドン

 殴られた。いや、可視化するほどの魔力を叩きつけられた。


「死ね、死ね、死ね、全て壊れてしまえ」

 隣にいた女子生徒から真っ黒のおぞましい魔力が発しながら絶叫している。


「なんだ、これは一体」


「リクト、この症状は悪魔付きだ」


「いや、なんだ悪魔付きって教えてk」

 殴られた。自分でもいうのもあれだが7年間の訓練でかなり身体能力の高い自信がある。おかげでそんなには痛くないけど。なんか凄い殴って来る。しかも、ずっと死ねって叫びながら殴って来る。


「すまん、リクトそのまま1分耐えてくれ、俺の魔法で何とかする」


「分かった。だが、早くしてくれ意外と痛いし、女の子にずっと死ねって言われ続けるのは精神的にも何か来る。ダメージがでかい」

 つーか、周りの人ほとんど逃げてんじゃん、それに、先生も俺らガン無視で公爵家や王家の方々を逃がしているし、ふざけんな、助けろよ、先生だろ、俺とケイゴが強くなかったら伯爵家の人間がかなり殺されてるぞ。大問題だぞそれ。分かってんのか。まじで、この学校の先生のことは絶対これから信用しないわ。


「リクト、準備が出来た。避けろ」


「分かったケイゴ」

 俺は右方向に転がるようにして距離をとった。


「浄化魔法・神聖魔法・封印魔法・複合・悪魔強制浄化封印」

 ケイゴの手から光り輝くエネルギー砲のようなものが放たれた。

 それは女子生徒の身体に当たると同時に黒色の靄みたいなものが彼女の身体から滲み出てそれを光が包み込んでいき、そのまま光が集まって小さい球のようなものになってコロンと落ちた。


「封印成功」


「ケイゴ今のは一体なんだ」


「ああ、すまん、今のは悪魔付き。俺が女神様から与えられた使命の一つだ。悪魔付きってのはこの世界にいる悪魔が人の身体に入り込み人をおかしくさせて、全てを破壊する化け物にする恐ろしい禁呪だ。この悪魔付きは普通はそうそう起こらないものなんだが悪魔王っていう化け物が誕生したせいで悪魔が活発化してよく起こるようになった。だから俺はそれを解決するために女神様に勇者として呼ばれたんだ。まあ、他にも邪竜王とか凶魔王とか死霊王とかナニカルマとか禁忌の化け物とか、いろいろ人類に敵対する化け物を倒さないといけないんだけど」


「そうなのか、それは、なんか、うん、頑張って」

 俺絶対倒される側じゃないかと思ったが言わないでおこう。というか禁忌の化け物って俺な気がするし。


「リクト、俺は今から悪魔付きの被害にあった彼女のケアをする、すまないが誰でもいいから先生を呼んで事情を説明せてくれないか。この学校の先生は一応全員俺が勇者って知っているから」


「分かった、じゃあ、先生呼んでくるわ」


 俺は駆け足で逃げたもとい避難したであろう先生の所に向かった。

 しかし、先生方はケイゴが勇者って知っていたのか、だから、あの時誰も手出さなかったのか。なるほどね。いや。それでも俺という一般人がいて無視は酷くね?

 お、先生見っけ、ちょっとけだるそうにしているがかなりの魔力を感じるダンディなオジサンだ。

 俺はそのダンディなオジサンに事の説明を軽くしてついてきてもらう。


 そこからは、かなりとんとん拍子に話が進んでいった。


 悪魔付きにあった女子生徒の身柄確保。及び精神ケア。始業式をもう一度やり直すことの決定。今回の件に対しての口外することの禁止と報奨金(口止め料含む)。俺の強さが認められてケイゴと同じSクラスへの編入決定。と、まあ、かなり綺麗に決まってた。


 ほんで、俺は今どうしているかというと。今俺の天敵ともいえる正教会に呼ばれています。


 マジで一切の冗談抜きにして俺の穢れたというか禁忌で埋め尽くされた魔力のせいか正教会にいるだけで息苦しいといか辛い。誰か助けて。つーか、何で俺は正教会に呼ばれたんだっけ。えっと、確か、今回の問題を終えて、ケイゴが俺を自分と同じ転生者だってゲロっちゃて、呼ばれたんだな。


 ・・・・・・


 鑑定された一発処刑。


 ・・・・・・


 ハードモード過ぎるでしょ。


「そんなに緊張なさらなくても大丈夫ですよ。私はただ、勇者様であらせられるケイゴ様の同郷の者と聞きご挨拶に貴方を呼んだだけですから。もちろん、本来であれば私の方からお会いに行くべきなのですが、何分立場という物がありまして。このような形を取らせてもらいました」


 初老を迎えたぐらいのお爺ちゃんなのに、怖い、怖い、怖い、恐ろしいまでの魔力に優しそうに見えるのに虚無感を感じる目、ゆったりとしたローブを着ていて地面についているのに、この人が話しかけるまで一切音も聞こえなかったし、魔力も感じなかった。化け物すら生ぬるく感じる。


「あの、え、ああ、こんにちは、私は、あ、ハア、エルホンス・モトイ・ハア、リク、ト、と申し、ます」

 上手く喋れない。声を出せない。息が上手くできなくなってきた。苦しい。怖い。


「あの、ひよっこ勇者と違って君は実力差が分かるようだね、これは、まだ貴方の方が見込みがありそうだ。じゃ、帰っていいよ」

 そうお爺ちゃんが言った瞬間、一瞬で俺の目の前から消えた。その瞬間苦しかったのが大分楽になる。


「あれは一体誰だったんだ、いや、考えるのは止そう、今度ケイゴにあった時に聞けばいい、それよりも早く家に帰って訓練の続きをしよう。俺はまだまだ弱い。こんな化け物がいるんだ。俺はもっともっと強くならなければならないな」

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