神との対話
俺は、目を覚ます。あ~、意識があるってことは自殺に失敗したのか。
とりあえず状況確認のため周りを見渡すと、そこは一面白い霧に包まれたような空間だった。ここはいったいどこだ。
そして、よく見ると遠くでテーブルに座ってお茶を飲んでいる女性がいた。
とりあえずあの人に聞いてみよう。
俺は近寄っていき、話しかける。
「すみません、ここどこか教えてくれませんか」
彼女は飲んでいたカップをそっとソーサーに置いて、顔をあげた。絶世の美女という言葉は、まさしくこの人の為にあるのだろうと思ってしまうほどの美貌を持つ女性がそこにはいた。
「ありがとう、絶世の美女なんてお世辞でも嬉しいですわ。私の名前はライラ。生命を司る神です。ここは、あなたがたの言葉で言う神界という場所です」
俺は自分の心が読まれていることにも驚いたが、それより何より神が実際に存在して目の前にその一人がいることに驚く。
「すみません、神様でしたか。失礼しました。自分は、神谷航と言います。突然で申し訳ないのですが、どうして神界に自分がいるのか教えてもらえないでしょうか」
「いいですよ。まず、あなたの身体は危険な状態です。後数時間もすれば心肺は停止します」
「しかし、これであなたの人生が終わるのはおかしいと私は思いました。そこで、私は神たちで行われる会議であなたを異世界に転生させるのはどうかという提案をさせてもらいました」
正直、この提案はありがたかった。俺は現世、ラノベの世界に憧れを抱いていた。
「そうでしたか。ありがとうございます。ところで異世界というのは、冒険者やモンスターがいるみたいなイメージで合ってますか」
「それで、間違いありません。あなたが望むのであれば転生させても構わないという協議結果となり、あなたをここへ呼び出させてもらいました」
俺は、悩まず答えた。
「転生させて下さい」
「分かりました。それでは早速、転生の準備をさせてもらいます。何かご希望があれば受け付けますがいかがなさいます?」
だが、ここは迷う。あまりにもチートスキルを持っていたら、つまらないからな。迷った結果俺が出した答えは、
「あまり、強いスキルがありすぎるのも嫌なので程々にしておいて下さい。あと、転生する場所は周りに強いモンスターがいないところにお願いします」
「分かりました。少し待ってて下さい」
一分後
「設定は終わりました。では転生を行います」
「よろしくお願いします」
神様はボタンを押す。
「ではあなたの未来に幸あらんことを」というお決まりのセリフ付きで
俺の周りが光り始めた。よし、これからが楽しみだ。どんな出会いが待ち受けているんだろうと考えていると転生が開始された。そんな時、神様が叫んだ。
「あっ~!?設定間違えちゃった」
そして、猛スピードで神様は設定し直そうとするが時すでに遅し。俺の身体は転生され始めている。
すると突然彼女は俺の方を向き、上目遣いのかわいい感じで言った。
「転生の設定間違えちゃった。許してね。てへぺろ」と舌を出す。おまけにピースのサイン付きで
俺は何も言えずに転生されたのだった。